34歳のおっさんがにじフェスに参加してきた話

私は地方在住の34歳独身男性だ。
学生時代を資格取得の勉強に費やし、そのまま専門職に就き、勉強と仕事とたまに推しのライブに行く日々を過ごしていたら34歳の独身男性になっていた。
そんな私が尊敬しているVtuberがいる。
それはにじさんじ所属の周央サンゴというライバー。
初めて知ったのはYoutubeの切り抜きか何かで見た、指示厨のリスナーを煽る周央サンゴというような動画で、そこではンゴちゃん(周央サンゴ)が即興で癇癪を起す男子小学生の真似をしていた。その演技力と流ちょうなトークが気になり始め、私はちょくちょくンゴちゃんの動画を漁るようになった。
マシンガントークだけでなく、英語のリーディングの発音の良さや、ロールプレイングや寸劇を途中で照れたりせず最後まで演じ切る姿勢。気づけば私はンゴちゃんに好意どころか尊敬の念を抱いていた。
そんなンゴちゃんがにじフェスで教室レクを実施するという。
流石におっさんが視聴覚室に行く勇気はないので教室レクなら…とダメもとで応募したところ、運よく当選することができ、参加することになった。

にじフェスの会場で驚いたのはまず人の多さだった。
初日の人の多さは聞いていたので、11時からの教室レクに間に合うよう9時前に現着。
一般入場列に並び、デッキから列を見下ろした瞬間に確信した。
あ、これ、絶対あと2時間以内に入場できない。
しかしX(旧Twitter)で探したところ、どうやら11時からのイベントは救済列があるらしい。
そちらに移動して事なきを得た。
でもこれは運営さんがわかりやすくアナウンスしてほしかったな…。
(あと列整理のスタッフさんは、スタッフ同士揉める声や、指示する口調が横で聞いてて怖かったよ。)

次に驚いたのは女性客の多さ。
体感85%は女性客だったのではないだろうか。しかも10代20代。
私がいつも行く推しのライブは、会社の重役みたいなおっさんが多いのに!
にじさんじすごい。

並んでいると、後ろの女性客らの会話が聞こえてきた。
前日は人が多すぎて、午前入場券なのに入場できたのが午後だったらしい。
おお。前日もフェスに来て今日も並べる体力があるのか。若い。
そして彼女らは口で言うほど前日の入場のことを怒っている様子はない。
凄い、これも若い。
もう少し歳をとるとそういうことには永遠に怒り続けるぞ!

救済列でも結局1時間程並び、いよいよ入場。
おっさんはもう既に腰が痛い。
が、そんな長時間の列や腰の痛みなど忘れるくらい。
おっさんのソロ参加でも楽しい現場だった。
愛情のこもった自作衣装ぬいや痛バッグ。
ソロ客でもスタッフさんが楽しませてくれるローションストライク、台パンマシン。
普通に自分の後ろを歩いている神出鬼没の謎ノ美兎。
ンゴちゃんの教室レク、サミットファンサミット。
何より周りのお客さん全員の楽しそうな表情。

とにかく皆の「楽しい」と「大好き」がその空間には溢れていた。
ンゴちゃんの教室で踊ったサミットダンスを中途半端にしか覚えなかった自分を少し恥じた。

さて、地方在住のおっさんは年末の平日に休むことなどできない。
したがって翌日は仕事だ。
また家では両親がクリスマスパーティの準備をして待っていた。
なので教室レクが終わり、物販を済ませた後、ンゴちゃんがまだまだイベントで頑張っているにも関わらず、神田駅からタクシーでサミット神田スクエア店まで赴き、これから新幹線移動なのに冷凍のサミットたこ焼きとサミット焼売を購入し、東京駅から新幹線に乗り夕方にはもう帰宅したのだった。

帰りの新幹線でも数人、にじフェスの袋を持った人を見かけた。
へぇ。私がいつも行く推しのライブなんか、帰りの新幹線で誰にもお仲間に会えないよ。
むしろ県内に自分以外のファンが本当にいるのか不安だよ。
やっぱにじさんじすごい。

新幹線から降り自宅に帰る道中、景色はだんだんと都会から田舎に変わっていく。
現実に帰っていくこの瞬間はいつも寂しいが、それでも私の心は満たされていた。
「楽しい」と「大好き」があふれてる現場は、いるだけで幸せになって、心が満たされるのだ。

…という土産話を後日ご学友にした。
34歳のおっさんが10代20代のファンがほとんどのイベントにソロ参加した。
なんて言われると笑われるかと思ったが、
「楽しい」と「大好き」があふれている現場は、いるだけで幸せになる。
この件を話した時、ご学友は「ほんとそれ」と共感してくれた。
私は、このご学友の親友で本当に良かった。
一生大事にしたい。異性なら付き合ってたしプロポーズしてた。

そうやって土産話をしながらご学友とCDを買いに来店したアニメイトには、なんと先ほど私がご学友にお土産として渡したにじフェスのグッズが、まさかの出張販売されていた。
現地じゃなくても買えるんだ!?
ファンの多さに裏打ちされた商圏の広さ。
やっぱりにじさんじすごい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?