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なぜ今、会計士学生最大級のイベントに挑戦するのか

はじめまして、学生団体eyesの初代代表をしております田和涼太です。

2024年1月14日(日)、私たちは公認会計士学生合格者最大級のイベントを行いました。
当イベントに関わってくださった関係者の皆様、そして、ご参加くださった学生の皆様、すべての方々に心より感謝申し上げます。
当イベントは学生が主体となり、企画の立案から運営まで行っています。そこで、なぜ、私たちが会計士学生最大級イベントの開催という大きな挑戦を行っていたのか書き記したいと思います。


私たちが会計士学生最大級イベントを開催するまでに1年間の歳月を要しました。そこで、このような大きな挑戦を行った経緯について、書き記しました。

会計士合格者のトレンド

私は2021年(大学2年生)の公認会計士試験に合格しました。その際に、「在学中に合格するのはすごいね。」というような声を有り難いことに沢山いただきました。しかし、会計士予備校でチューターをしていたこともあり、在学中に試験に合格する学生が毎年数百人いることを認識していたため、少し違和感がありました。そこで、実際に試験合格者の分布の考察を行いました。

作成:筆者 引用元:公認会計士・監査審査会HP

学生合格は少数派ではない

上記の図表で注目すべきポイントは2つあります。
1つ目は、在学中合格者数が増加している点です。最近では在学中合格者数が650名を上回っており、合格者の半数超を在学中合格者が占めています。したがって、学生合格は少数派ではなく、多数派であると言えます。
2つ目は、大学生の論文式試験の合格率が非常に高い点です。論文式試験における合格率(合格者/論文受験者)は34~36%となっています。この点、大学生の論文式試験における合格率は常に50%を超えています。この要因については単に社会人受験者に比べて時間を確保しやすいということも考えられますが、短答式試験を突破した学生は他の受験者に比べて一定程度能力が高いことを示唆していると言えます。
このように『学生合格者が合格者のボリュームゾーンであること』、『学生合格者は能力が高い可能性がある』という2点の理由より、学生向けに施策を打つことは中長期的な観点で会計業界にインパクトを与えられるのではと考えるようになりました。

現状の課題

上記のような考察の結果を当時CPASS(公認会計士のキャリア支援)でインターンをしている友人に相談しました。すると、友人も同じようなことを考えており、一緒にやらないかという話になりました。
まず私たちが行ったこととしては、「目的の設定」です。「私たちの挑戦は誰に対してどのような影響を与えたいのか」、「この挑戦によって何を実現したいか」など、抽象的な話から具体的な話まで約1ヶ月程度議論しました。
そこで私たちが出した結論としては、「学生にとって価値のあるものを提供する」「会計業界にとって社会的意義のあるものを提供する」ことを実現することでした。しかし、両者を現段階で一気に実現することは難しいため、しっかりロードマップを引いた上で、戦略的に実行する必要があると考えました。

学生を取り巻く環境

現在、慶應ではケイアカ、早稲田ではWACCというように各大学に会計サークルが存在しています。在学中に公認会計士試験に合格する学生の多くは、これらの会計サークルに所属しています。この点、これらの会計サークルは試験に合格するまでの学生コミュニティとしての位置付けが強く、試験合格後にフォーカスした学生コミュニティは基本的に存在していませんでした。そこで、このホワイトスペースに目を付け、公認会計士試験に合格した学生にとって有意義な環境を創りたいと思うようになりました。

学生100人へのヒアリングで分かったこと

これらを実現するために在学中に合格した学生や会計士受験生など100人にヒアリングを行いました。そこで見えてきた学生の特徴は3つあります。
1つ目は、学生は「年齢的ハードル」「知識的ハードル」に敏感である点です。特に「年齢的ハードル」を過度に気にしてしまい、実際に社会で活躍されている方とお話しする機会でも何を話していいか分からないという学生が多い印象でした。そこで、ファーストステップとしての学生向けの施策はこのようなハードルをいかに見せないようにするかが鍵になると考えました。
2つ目は、「学生の強み」「在学中合格の強み」を理解していない点です。私自身、在学中に試験に合格したことで様々な挑戦の機会をいただくことができました。これらの挑戦の中には学生だから挑戦できたことや試験に合格したから挑戦できたことが数多くあります。しかし、多くの学生は学生の強みや在学中合格の強みを理解しておらず、さらなる成長の機会を逃している可能性があると考えました。そこで、まずはこれらの強みを「知る」機会を学生に対して提供したいと思うようになりました。
学生の強みや在学中合格の強みについては以下の記事に記載していますので、詳細についてはこちらをご覧ください。

3つ目は、試験に合格することがゴールという価値観が形成されている点です。ここで勘違いしていただきたくないこととして、私たちはこの価値観は一切否定していません。この点、ヒアリングした際、公認会計士試験に挑戦した理由が公認会計士になることではなく、公認会計士という資格を利用しながら、様々なことに挑戦したいと思っていた学生が数多くいました。しかし、在学中合格した学生は良くも悪くも社会人になるまでに一定程度時間を要するため、この期間の有意義な過ごし方が分からず、新たな目標も定まらずにモヤモヤしている学生が多くいました。そこで、在学中に合格した学生が新たな目標に向かって挑戦できる場所を提供したいと思うようになりました。具体的には、ファーストアクションとして、在学中に合格した学生に対して、残りの学生生活の有意義な過ごし方について、「知る」機会を提供したいと思うようになりました。

これらの現状の課題を踏まえ、「学生にとって価値のあるものを提供する」「会計業界にとって社会的意義のあるものを提供する」という目的のうち、まずは、「学生にとって価値のあるものを提供する」ことにフォーカスした施策を打つことになりました。

「非常勤だけじゃもったいない!~在学中合格者のロールモデルを知ろう~」イベント

現状の課題の2つ目で挙げたように、在学中に合格した学生に対して、残りの学生生活の有意義な過ごし方について、「知る」機会を提供するイベントを実施することとなりました。
ここで、再度学生にヒアリングを行い、以下のような気づきがありました。
基本的には試験合格後の学生生活の過ごし方として、多くの学生は「会計士予備校のチューター」「監査法人の非常勤」という選択肢しか知らない点です。受験生時代は試験に合格することが最大の目的であり、他のことを考える時間は多くないため、仕方がないことがと思います。しかし、選択肢を知らないがために行動が制限されていることは非常にもったいないことだと思い、まずは選択肢を「知る」機会の提供を行おうということになりました。
そこで、比較的時間に余裕のある論文式試験を受験し終わった学生をターゲットとして2023年10月9日(月)にイベントを行うこととなりました。

イベント概要

「非常勤だけじゃもったいない!~在学中合格者のロールモデルを知ろう~」イベント

当イベントでは「挑戦している姿(ロールモデル)を示し、憧れを持ってもらう」ことをゴールとして設定しました。これは、現状の課題として挙げたように学生は「年齢的ハードル」に敏感であることから、比較的年齢の近い学生が登壇者となり、なるべく登壇者と参加した学生のギャップをなくすことで挑戦の再現性をイメージさせやすくし、「私たちにもできるかもしれない」「挑戦してみたい」と思ってもらえるように意識しました。

登壇者(在学中合格者)は以下になります。

  • インターンをしている学生

  • 会計士予備校でチューターリーダーをしている学生

  • 留学を経験した学生

  • 監査法人で非常勤をしている学生

  • 一般就活をしている学生

当イベントは40名ほどの学生が参加し、イベントの終わりには、「心から来てよかったと思う!」「考えが変わった!」との声も多く、非常に有意義なイベントとなりました。
このイベントを通じて2つの学びを得ることができました。
1つ目は、当イベントは「学生にとって価値のあるものを提供する」という当初の目的を達成できたことです。イベント終了時の参加してくれた学生の目の輝きは忘れられません。在学中合格者は毎年いるため、このような活動は続けていきたいと思いました。
2つ目は、当イベントを企画・運営する中で私たち自身が大きく成長できた点です。イベントの目的は何か、イベントのゴールは何か、参加者にとって価値のあるものは何かなどゼロイチで何か生み出す経験は私たちにとって非常に価値のあるものだと気づくことができました。

当イベントの詳細はこちらになります。

なぜ、会計士学生最大級イベントに挑戦するのか

私たちが最初の目的として以下の2つを掲げました。
「学生にとって価値のあるものを提供する」
「会計業界にとって社会的意義のあるものを提供する」
「学生にとって価値のあるものを提供する」ことについては前回のイベントやこれまでのヒアリングの結果、ある程度方向性が見えている状態でした。しかし、「会計業界にとって社会的意義のあるものを提供する」ことについては私たち自身、明確なイメージが湧いておらず、定義することから始めました。

「会計業界にとって社会的意義のあるものを提供する」

私たちは、「会計業界にとって社会的意義のあるものを提供する」ことを「会計業界にポジティブなインパクトを与え、会計業界が盛り上がるようなイベントをする」と定義しました。先ほど述べたように会計士試験の合格者のボリュームゾーンは学生であり、これから会計業界を盛り上げていくであろう学生にもっと目を向けてほしいと思っています。学生は社会人の方々と比較して、時間が豊富にあります。確かに、経験という面で社会人の方々には相対的に劣っており、短期的なリターンは見込みづらいですが、中長期的にレバレッジをかけられるのが学生の強みであると考えています。
これを実現するためには一定程度インパクトのあることを行わないといけないと考えました。そこで、在学中に試験に合格した学生が200人集まる公認会計士学生合格者最大級イベントを実施しました。

「学生にとって価値のあるものを提供する」

私たちはイベントを開催するにあたり、このポイントを一番重視してきました。学生合格者最大級イベントを行うとなると面を広げて集客を行う必要があるため、明確なターゲットの選定が難しく、学生にとってのインサイトは何かを見つけるために相当な時間を要しました。
ここでも、在学中に試験に合格した学生70人程度にアンケートを行い、学生にとってのインサイトは何か調査しました。この点、学生の大半は監査法人に就職します。この点、現段階で監査法人を辞め、新たなことに挑戦したいと回答した学生は7割を超えていました。一方で、監査法人の先のキャリアについての解像度が高い学生は少なく、ここにインサイトが隠れていると思いました。学生は監査法人への就職活動を通じて、一定程度監査法人への理解はある状態です。しかし、その後のキャリアについて知る機会が圧倒的に不足しています。だからこそ、イベントという機会を利用し、学生にとって、今後の人生を歩んでいく上でのヒントになる機会を提供しようと考えました。

後編に続く

前編はここまでとなります。後編では、学生合格者最大級のイベントをどのように実現したのか、イベント当日のレビューなどを中心に記載しようと思います!
乞うご期待!

学生団体eyesとは

私たちは2024年1月1日に学生団体「eyes」を立ち上げました。

Platform for elevating youngsters executive skills
〜学生が自分の可能性に目を向け、挑戦できる場所〜

eyesは「学生のカルチャーをアップデートする」ことをミッションとして掲げ、会計士試験に合格した学生が新たな目標に向かって挑戦できる環境を学生自らの力で創造しています。
学生自ら主体的に行動し、力を合わせて大きな挑戦を行っています。
詳細はこちらの投稿をご覧ください。




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