鳥が居場所を失くしたら

鳥が突然狂ったように人間に襲い掛かる、ヒッチコックの映画「鳥」。彼らは獰猛で執拗で、むしろ怯えに近いヒステリー状態。彼らは普段、自分達に害を及ぼす「人間」を避けている。しかし事ここに至って人間より怖いものを見つけたようだ。人より怖いもの、デュ・モーリエの無意識はその危険性に気づいていたのかも知れない。鳥の祖先は恐竜である。一億数千万年の間、地球を支配し続けてきた生き物である。それがなぜ史上最強の座を捨て、空を選択したのか。  
イルカ、クジラ、深海生物、蛇、大型腹這い動物、人間。その状態により地震を予測できる生物はたくさんいるが、鳥は未だ行動を顕わにしたことがない最凶の予測生物。鳥が大空に居場所を失くしてしまったら、あらゆる生物に深刻な「種の危機」が訪れる。ティラノの貧弱な腕は、それを退化させるかわりに、翼を得ようとしていた。つまり鳥になりたかったのだ。


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