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OM式型取り複製覚え書き その9 型作りの大失敗の傾向と対策

 今回は型取り複製でよくある、そして致命的なミスについて取り上げていきます。
 ちなみにリカバリーが難しい致命的なミスは以下の通り。
・シリコンに硬化剤入れ忘れて固まらない
・二回目にシリコン流す時に離型剤塗り忘れ
・A液A液、B液B液といった誤キャスト


これらの致命的なミスを回避するのに大事な点をまず書いておきます。
注意力緩慢な状況での作業はさける
イベント直前の切羽詰まった状況下で、徹夜続きだとやらかす可能性が高くなります。余裕を持ったスケジュールで量産することが大事です。

1. シリコンに硬化剤入れ忘れ

色つきの硬化剤は一目で確認出来ます

 私はやったことはないのですが、やらかした知り合いが居ました。
 リカバリー方法としては、まずできるだけ多くのシリコンを缶に戻すことです。ただ、粘土面や原型回りに付着したシリコンを回収しずらいので、壁側に缶を置いて、型枠を斜めに傾けて缶の上において1日ぐらい放置すると回収率が上がると聞きました。最終的に原型に残っているシリコンを拭い取り(拭き取りにはエナメルシンナーが有効)、油粘土の表面を破棄してから粘土埋めを一からやり直しです。
 つまり硬化剤入れ忘れるは、最低でも一日分の作業ロスが発生する重大なミスになります。

 では、硬化剤の入れ忘れを防ぐにはどうしたらいいのか?
・着色済み硬化剤を使うシリコンを選ぶ
・缶の蓋などにメモ貼っておく
・先にビーカーに硬化剤入れてから、シリコン計量する

 ざっと思いつくのはこんな感じです。ただし、これらの対策をしてもうっかりミスが起きるときは起きるものです。根本的には、硬化剤をいれるというルーチンを確立するのが大事なのかもしれません。

2. 離型剤塗り忘れ

離型剤(クレオスのシリコンバリヤー)塗っている所

 うっかりかつ致命的なミスその2、一回目のシリコン硬化後に粘土剥がしてシリコン面を綺麗にしてから、離型剤ぬらずに二回目のシリコン流してしまうというパターン。シリコンが癒着してしまい、型が割れなくなるというケースです。
 まずは力尽くで型が割れないか、試してみます。油粘土の油分がシリコンに残っていることを期待するわけです。この段階で型を空けられたら、多少の破損があってもラッキーだと思います。
 それでもダメだったら、カッターナイフで切れ込みを入れて、強引に開きます。いわゆる切り裂き型と同じやり方になります。シンプルなパーツ形状、シンプルなパーツ配置なら、これでうまく行く可能性もあります。
 最悪なのは切り裂きがうまく行かずに、シリコンがいくつもにバラバラに千切れてしまうケース。こうなったら原型を救出、破損した原型を修復して一から型を作り直すしかありません。

 では離型剤を塗り忘れを防ぐ対策は?
・ブルーワックスなどの色付きの離型剤を使う
・透明な離型剤に着色して使う
・目立つ所にメモ置く

 まあ、色付きの離型剤使うのが結構有効ですね。うまくいけば、シリコン注ぐ前に違和感に気付くことが出来ますから。
 それと注意したいのが、キャスト注型用の離型剤使うケース。クレオスのシリコンバリヤーを除いて、シリコン用とキャスト用とでは離型剤が違います。キャスト注型用の離型剤を、シリコン離型に使っても全く効果はありません。特にシリコンタイプのスプレーは間違っても使わないように。

3. A液×A液もしくはB液×B液

計量済みのアイボリーキャスト。透明なのがA液、黄色いのがB液。

 いわゆる誤キャスト、A液同士もしくはB液同士を混ぜたの気付かずに注型、いつまで経っても固まらないことで自体に気付くパターン。
 かなり致命的なミスです。最悪型が逝きます。ちなみにB液×B液がヤバイとよく言われてます。
 リカバリー方法としては、できるだけ早く型から抜き取り綺麗に拭き取ってから、ちゃんとA液×B液で混ぜたキャストを空けた状態のシリコン型に注いで、残ったA液もしくはB液も一緒に硬化させる。
 ただしこれで上手くいっても、型の寿命はかなり落ちますので、誤キャストを起こさないように気をつけるのが大事です。

 では誤キャストを防ぐための対策は?
・A液B液の違いがわかりやすいアイボリーキャストを使う
・容器に色や目印付ける
・計量する順番を決めて習慣づける
・余裕のあるスケジュール

 白キャストはA液B液が透明なので間違いやすいです。初心者はアイボリーキャストをおすすめします。ちなみに私も昔一度だけ白キャストで、やらかしたことがありました。
 小分け容器の蓋の色を分けたり、A・Bと大きくマジックで書くのも有効。
 まずA液から計る、といった順番をルーチンにするのも大事です。私はいつもA液から計量するようにしてます。
 徹夜続きなどで、注意力緩慢な状態だと致命的なミスをやらかしやすいので要注意。ベテランでも徹夜続きでやらかす話は良く聞きます。

 あと誤キャストはちょっと違うのですが、キャストの硬化不良というケースもあります。攪拌不足の場合もありますが、ビーカーの目盛りで1:1計って硬化不良というケースもたまに聞きます。
キャストは重量比で1:1です。A液とB液とで比重が違うので、ポリカップの目盛り基準に容積比で計ると1:1にならず硬化不良になります。必ず、電子秤できっちり計ること。


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