雨が降る
昔から、雨の日は何故か憂鬱だった。
空もくすんだ灰色で、ポツ…ポツ…と雨雫が窓に音を立てる、その音ですら心が暗く、わたしという人間が汚されているような感覚に陥った。
もっと大袈裟に言えば、世界が雨に汚されていた。
雨の日は嫌い。
出来るだけ外出しないで、止むのを待とう。
けれど、それはつい以前の感覚。
今、雨が降ると、何故か、憂鬱にはならず、汚されていくような感覚にもならず、
ただ、
自分を清めてくれるような…真逆の感覚になった。
どういう心理変化なのか解らない。服用している精神科の処方薬が、鬱の気持ちを晴らす効果があったのかもしれない。
とにかく、今は雨の日が苦手ではなくなった。
雨音も、心を静めてくれる作用があるように思う。
ただここ数日、雨の降る日が多く、今年の桜(国花のソメイヨシノ)の開花宣言もずいぶん遅れた。
自分を打ちつける雨に、それでも懸命に咲こうと、少しずつ少しずつ花弁を開いて開花した花は、強いと思った。
雨。
恵みの雨。
時に、自然災害の雨。
雨が降る。
わたしも、少し、成長出来たのかな…。
ポツポツポツ……
雨が降る
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