#31 ヴィクトリアマイル
今週は東京競馬場で『ヴィクトリアマイル』が開催。芝1,600mで争われる牝馬限定のG1レース。いわば、マイル女王決定戦だ。
昨年、白毛のアイドル「ソダシ」に、最優秀マイラーに輝いた「ソングライン」が引退。マイル女王の座は空席となった。
そこへ堂々名乗りを上げるのは、昨年の『マイルCS』でG1初制覇を果たした「ナミュール」。そして、昨秋の『秋華賞』で三冠牝馬に0.1秒差まで迫った「マスクトディーヴァ」。この2頭を筆頭に新女王の名を懸けて女傑たちが火花を散らす!
今回は①コース形態とBコース替わりを加味した②馬場状態の分析し、各馬の脚質から適性を評価。そして、その評価を基に③過去10年の好走データと④展開予想を踏まえ、好走を期待できる馬を推奨馬としてピックアップしたいと思う。
予想
①コース形態
東京・芝1,600mのスタート地点は2角の出口付近。スタート後のポジション争いで向こう正面直線を目一杯使えるレイアウトとなっており、初角の3角までは約540mの直線距離が確保されている。
上記の通り、スタートから初角の3角までの距離が長い上、下り坂を2度駆け抜けることになる。故に序盤から早いラップが踏まれる傾向にある。
向こう正面後半、2度目の坂を下りながら3角へと差し掛かる。息を入れたい¹ 区間ではあるものの、下り坂と緩やかなコーナー設計とペースは落ちにくいのが特徴。
3角半ばで緩やかな上り坂へと変わり、余裕あるコーナー設計の3角~4角を抜けていく。
ゴール前の直線は525.9mと長い上、前半には全長160m、高低差2mの坂が待ち構えている。坂を越えた後もゴールまで約300mと惰性で押し切るには長い距離が残っている。
上記の特徴から、東京競馬場の長い直線を活かした瞬発力やスピードは優位性の高い資質だが、タフなコースをこなすスタミナや追走力も同時に求められる。
②馬場状態
次に現在の馬場の内外の状態を見ていこう。
冒頭で軽く触れたように2回東京7日~10日の開催期間はBコースを使用する。これは基本となるAコースから内柵を3m外に設置したコースでの開催となり、それによって馬場の内目の傷みが解消されることになる。
JRAが公開している馬場情報からも内柵の移動に伴い、ラチ² 沿いの傷みが緩和されているのが分かる。
このことから、外差しに偏らない、内も伸びる馬場状態にあると言えるだろう。
続いて、馬場の時計の状態を見ていこう。
昨週日曜開催の東京・芝1,600mのレース、9R『分倍河原S』と11R『NHKマイルカップ』を参照する。
前者、『分倍河原S』は4歳以上3勝クラスの条件戦。前半600m通過は34.9秒とフラットな流れ。ただ、レース中盤もラップの緩みが生まれず、追走に余裕があった、先団~中団の決め手のある馬が上位を席巻という結果となった。
この時の上り最速は勝ち馬の34.0秒。続く2着馬、3着馬の上りタイムも34.3秒以内に収まっており、殆ど差のない決着。
次に『NHKマイルカップ』を見ていこう。こちらは3歳オープンクラスのG1レース。前半600mの通過は34.3秒と比較的タイトな流れ。一方、こちらはレース中盤でラップに一息入り、単勝上位人気の実力馬ではあるが、4角3番手以内の馬が好走。
この時の上り最速は9着馬の33.8秒。次いで勝ち馬の33.9秒が上り2位となった。
上記2レースの結果から、昨週までの上りタイム上位の基準は34.0秒付近と読むことができる。ただ、週中間が晴天続きな点と、Bコース替わりによる馬場状態の良化を踏まえると、上り最速は33秒半ばまでは十分想定の範囲内だろう。
③過去10年の好走データ
次に過去10年の開催における着順上位3頭のコーナー通過順と上り3Fについて見ていこう。
まずは前半600mの通過タイムについてだ。上記の①コース形態でも解説した通り序盤から早いラップが踏まれる傾向にあり34秒前半に収まる開催が6回と半分以上。更に、良開催に限定すると7割以上の確率でハイペースの傾向となる。
ただ、その一方でコーナー通過順に注目すると4角を二桁順位で通過した馬による大味な決着は多くはない。これは②馬場状態で触れたように、Bコース替わりによる馬場状態の良化が一つ要因と言えるだろう。
続いて上り3Fを見ていこう。直近2年こそ上り最速馬は馬券外を喫しているが、10年を通して見れば勝率3割、連対率6割をマーク。
ただ、これに関しては単純な上り優勢の傾向と読むより、勝ち負けに繋がる上りを使える馬による結果的な傾向と見た方が妥当だろう。
つまり、安易に“上り比べのレース“と断定するのは軽率だということだ。
④展開予想
ここからは決定した枠順を踏まえて隊列、及びレースの展開を予想していく。
まずはハナ³ の想定だが、今回のメンバーにおいて逃げて味があるのは ④コンクシェル と ⑭フィールシンパシー の二頭だろう。その内、内目の枠に収まった ④ がハナを取ると予想。
ただ、出足と行き脚においてマイラー資質に乏しい ④ 。その内隣にスタートから行き脚のある ③スタニングローズ がいることを考えると、不本意にも序盤で早いラップを刻むことになる可能性も大いにある。
続いて隊列予想をしていこう。
~逃げ~
内から好スタート ③ の外、 ④ が促してハナを主張。外からは ⑧サウンドビバーチェ 、 ⑭ も2番手の一線。
~先団~
その後ろ差がなくインに ②フィアスプライド 、並んで外に ⑦ハーパー が追走。外からは ⑮ドゥアイズ も先団の外目。
馬群の中、 ⑤ウンブライル 、 ⑥マスクトディーヴァ が追走。これらを追って、外から ⑨テンハッピーローズ 。
~中団~
最内枠を控えて中団に ①ライラック 、その外目に ⑩ナミュール が追走。中団の後方に ⑪ルージュリナージュ 、やや離れた位置に ⑫キタウイング 。内に切り替えて ⑬モリアーナ が最後方を追走。
最後に展開予想をしていく。
ハナの予想でも触れたが、序盤から ④ にとっては早いラップになると見ている。ただ、それも例年の傾向から見れば落ち着いた流れ。前半600mの通過は34秒半ばと想定。
隊列が決まると、3角進入でペース調整。3角4角中間でも徐々にペースを落とし、1,000m通過は58秒前半。
4角へと差し掛かり隊列が徐々に加速し、直線へ向くと各馬が追い出しを開始。直線の様相はスローからの瞬発力×スピード勝負となると予想している。
推奨馬
◎⑥マスクトディーヴァ
〇②フィアスプライド
▲⑤ウンブライル
▲⑩ナミュール
△①ライラック
△⑬モリアーナ
☆⑭フィールシンパシー
買い目構想
今回の◎印のイメージは勝ち切り。ただ、一方でそれに続く各馬も実力拮抗。また、レース展開を始め、スタート課題や気性など不確定な要素が多いのも事実。
そのため、やや消極的ではあるが軸馬券は【馬連】からとさせてもらう。◎⑥から〇~▲へ流して3点。
勝負馬券は◎勝ち切りイメージと、好スタート前提ながらも展開利を加味した〇の評価を汲み、【三連単】で攻める。1着⑥-2着②-3着▲~☆の5点。
計8点、元返し覚悟で勝負する。
おわりに
『ヴィクトリアマイル』の予想は以上になります。
今回においては、二強の評価が難しかったと言うのが感想です。また、二着以降の評価においても、大荒れがあってもおかしくないというのが正直な手応えでした。
勝負馬券も実際、【単勝】に留めても良かったように思えます。土曜時点のオッズならば、200%前後上限ではありますが見込めますから。
最後になりますが、この記事が参考になればスキとフォローを是非よろしくお願いします。
それではまた、次週『オークス』の予想記事でお会いしましょう。村長の競馬ノートでした!
¹…ペースを調整して呼吸を整えること。体力を温存すること。
²…コースに設置された内柵のこと。
³…隊列の先頭のこと。
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