バカ息子

去年大学を卒業した。次男が今自宅でニートのような生活をしている。
大学を卒業する時に就職をせず、4月からネットで仕事先を探し、2件のブラック企業に就職したが、2件とも1ヶ月もしないうちに退職した。

そもそも明治大学を現役で合格して4年で卒業するようなどちらかといえば有利な就職活動ができるはずの若者だったのに、なぜか目的もないまま新卒で就職をしなかった。そして周りの友人が働き始めた頃、スマホの仕事探しサイトで見つけた外壁の訪問販売の会社。
中途採用のおじさんたちの中で唯一新卒で大卒のバカ息子は会社側に褒められ持ち上げ、上手いこと言われ、喜んで入社した。
しかし1日中飛び込みで外壁の訪問販売を先輩に付き添ってやらされたのだ
会社の底辺のただの使い捨てである
まさに典型的なブラック企業に飛び込んだのである
バカすぎて話にならない
まさに新卒の若者をちゃんと社会人として育て上げるつもりのないブラック企業である。
外壁の訪問販売と聞いただけで普通の大人ならブラック企業であることはブラック企業という看板が貼られているぐらいのブラック企業であることぐらいすぐにわかる。
しかし、バカ息子である。就職せずに大学を卒業したあせりからチヤホヤされて、急にやる気を出して入社したのだ
訪問販売に必要な顧客とのやり取りのマニュアルを必死になって覚えていた。しかし、もう3日目にはここではやっていけないとさすがのバカ息子も気がついた。
短い研修が終わってすぐに先輩と二人組になって訪問販売が始まり、バカ息子は心が折れた
バカ息子は会社を辞めると決めるのも早かったが、その後の行動も早かった。
唯一バカ息子が誇れるところが諦めるはやさか。ブラック企業に勤めながら心の病になる前にとっととやめたバカ息子。
その後またもう一度スマホのサイトでファミレスに就職を決めた。
そのファミレスの就職は名前を知っているからという理由だった。何の経験もない、若者が採用される会社は若者を育てる考えはなく若者を使い尽くすための人材である
相変わらず転職組のおじさんたちと同期で入社した。
いわゆる年の近い同期とともに励まし合いながら会社生活を始める世界とは程遠い。
またしても短い研修が終わり、早速店長候補として配属された。
アルバイトとして働いたことさえもないファミレスで、アルバイトの先輩たちにこき使われた。
ファミレスのあらゆるルーティンを覚えさせられた
覚えることは無限にあった
なれない場所で無限に感じただろう。
そもそもファミレスでアルバイトをしたことがない正社員など他になかった。
そこはバカ息子である。
基本は真面目なバカ息子、忙しい店舗の中であらゆるルーティンを必死に覚えようとしたが、はじめてのファミレス仕事で覚えることが多すぎるのと、店長候補であることのやっかみでアルバイトのいじめにあった
このファミレスをやめるのも早かった。
ファミレスの寮に引っ越していたために、寮から実家に戻ってくることのはやかったこと。
この退職決意後の行動の速さはバカ息子の得意分野となったようだ。
バカ息子は涙を流し、来年の公務員試験を受けると私に決意を表した。
このバカ息子はおそらく結構勉強はできる方なのだと思っていたので就職先として、確かにいい選択だと初めてバカ息子を多少見直した。
しかし、そこはやっぱりバカ息子である。
公務員試験を受けるために必死になって勉強すると思っていたが、いつのまにか麻雀にのめり込んでいた。私の目を盗んでコソコソと真夜中雀荘に足を運んでいた
アマチュアの麻雀大会で優勝した経験もあるようだ
麻雀にのめり込んでいるその姿に私にはゾッとした。
私の目をごまかそうとしている。その行動にもゾッとした。
お前はどうする気だ。
どうやって生きていくつもりなのだ。
麻雀で生活するなど、本当に一握りの特別な人間だけなんだぞ。
お前はそんな特別な人間にはなれない。
悪いが絶対になれない。
もう我慢の限界が来た。
私は息子に言ってやった。
麻雀をやめろ。
公務員試験を受けるというのだだから協力してきたのである。
ニートである君をひとり親の私が支えてきてた。
それはひとえにも公務員としてちゃんとした就職をするんだという決意を信じたからである。
その私の目を盗んで、嘘を言って、朝昼逆転の麻雀生活を送っているのである。
そんな生活をするために、身の回りのこと、食事や洗濯をやっていたのではない
バカ息子を信じ期待していたからこそだったが、もうやめにしよう。
自分がこのバカ息子から子離れしなければならない。
結局、このバカ息子を私自身が突き放せなかったのである。
結局すっかりこのバカ息子に舐められてしまっていたのである。
私がやるべきことはこの馬鹿息子から離れることである。
間違いない。


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