四季報を読んで投資先企業のことを分かった気になるのが危険なワケ
新NISAが始まり、オルカンなどのインデックスファンドが人気の投資先となっている。積立投資枠が個別株が対象外ということが理由のひとつだろう。
一方で積立投資枠ほど制限のない成長投資枠では高配当な個別株などにも人気があるという。
自分が息子である君にススメる投資方法はインデックス投資であるが、もし個別株投資をするのであればそのリスクをきちんと認識しておくことだ。
細かいものは置いておいて、最も注意すべきは投資先企業が破綻し株券が紙屑、すなわち倒産や上場廃止により無価値となることだろう(最近は紙ではなくデータなのでデータ屑というのかな)
投資資金がゼロになるという投資家にとっては悪夢のようなケースだ。
インデックスファンドのように何百、何千という投資先であれば1社が破綻したとしても影響は1/100とか1/1000で済む(単純化してハナシている)。
しかし個別株だと破綻は当たり前のように発生するのだ。
個別株投資をする場合、個人投資家は企業のIR情報や四季報などから各種の経営指標や定性的な取り組みから投資判断をすることになるだろう。
しかしそれはあくまで表面上かつ過去のデータでしかない。
ちなみに株主優待の内容や配当金の多さしか見ていないとしたら、それは投資ではなくギャンブルにナル。以下が良い例だ。
そういった行為は投資詐欺の顧客候補生になる可能性があるので考え直した方が賢明だ。
ハナシを戻そう。
例えば東証プライム上場の医薬品メーカーの小林製薬では今年3月に販売したサプリメントが原因で死者まで出す健康被害を出し、事件報道直後に一週間で株価は20%も下落した。
小林製薬と言えば、キャッチーなCMや宣伝文句が親しまれており、ほんの6年前には以下のようなポジティブな評価を受けていたノダ。
確かに株価はその後2020年年末に最高値を更新している。当時の株価は12,760円と事件により暴落した株価の4,875円の約2.6倍だ。
しかし同社の実態は最も大切な製品の品質管理さえ満足に出来ていない企業だった。深刻なのはこういった実態を経営トップが把握していなかったということだ。
経営トップが把握していないハナシを投資家である株主が把握できるハズがない。IRや四季報では知りようがないリスクだ。個別株に投資する以上はどうしてもこういったリスクがつきまとう。
ブログやYouTubeでは今流行りの銘柄の過去データを子細に分析し、投資している自分がいかに正しいかを発信しているのをよく見かける。
とても参考になるしありがたいハナシだが、その人もそれを読んでいる君も所詮は二次情報、三次情報を眺めているだけに過ぎない。
以前紹介した映画『ウォール街』では、証券会社の主人公が投資家であるゲッコーに投資先の説明をするシーンがある。
ゴードン・ゲッコーはそれを聞いて「そんな表面上の話はいらない。欲しいのは他が知らない情報だ」と言い放つ(相当意訳シテイル)
要はそんな誰でもアクセスできるデータは表面上の数字で役に立たないということだ。
デフレ経済が30年も続き、コスト削減を重視し過ぎた日本企業では当たり前のハズの品質を偽装することが常態化している。
自動車の検査データ不正、自動車部品の欠陥、免振装置の検査データ不正、マンションの手抜き工事、食品産地の偽装、食品や医薬品の衛生・製造工程の不備などなどニュースにならない年はナイ。
そして不正があきらかにナルと株価は下落スル。
そういった企業に体力がない場合は、株価下落にとどまらず存在自体が消滅するスルことになる。以下は2020年に製造工程の不備が発覚し業務停止命令を受け、その後2023年に上場廃止した日医工株式会社の株価推移だ。
2019年まで同社はジェネリック医薬品で国内2位の大手企業だった。
個別株への投資をする場合はこういったリスクをきちんと理解しておき1社に資金全額をベットするような愚かな行為は慎んで欲しい。
もし個別株のみに投資するのであれば少なくとも10銘柄程度には分散投資しておくことだ。そうすればもし投資先が破綻しても失う資金は1/10で済む。
そして投資信託やETFではさらに分散されている。これがオルカンなどインデックスファンドの強みだ。どうしてもリターンばかりに目が行くがリスク分散しているのが実は最大の強みなのだ。
自称経済ジャーナリストでマスコミが盛んに取り上げる以下のニンゲンの言っていることは明らかな間違いなので信じないようにしたい(この記事は以前にも使ったが突っ込みドコロ満載で使い勝手がイイ)
追記
メディアによく出てドヤっている投資のヒョウロンカやセンモンカ、ファンドマネージャーを揶揄したり批判しているのは個人的に恨みつらみがある訳ではない。
明らかな間違いや利益誘導、自己保身の類が多いからだ。故山崎元氏が生前にご自身の活動の源はこうした状況に対する「怒り」だと語っていたが、その気持ちが良く理解できる。
著名かつ非凡な同氏とは比べるべくもないが、そこらへんにいる平凡な投資家の立場から息子や君の友人世代に有益な情報を残しておきたいと思う。
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