小説:恋愛相談店Liebe

第3話

「、、死ぬのはやめたほうがいいと私は思います。」
精一杯の言葉。
「これはあくまで私の考えです。あなたはまだ高校生だ。これからたくさんの経験をして、たくさんの人を愛して、たくさんの人に愛されていきます。」
「だから、死ぬのは今じゃないと思いますよ。」
まだ泣いている。でも聞いてくれている。
「もう1度、あなたの正直な気持ちを伝えてみてはどうでしょう。そして彼女の気持ちも聞いてあげるんです。もちろんあなたと同じ気持ちとは限りません。ほかに好きな人がいるかもしれない。もしそうだとしても、今のあなたの中にそのたくさんの歪んだ気持ちをため込んでおくのは良くないと思います。」
でも、そう言って彼女はまたしゃべりだす。
「でも、彼女に振られたら、拒絶されたら、本当に私は死んでしまう。生きていける気がしない。」
まったく今の若者は
「振られるかも、そんなことを考えてる暇があるなら告白しに行きなさい。ダメだったのなら、あなたが泣き止むまで私はそばにいます。慰めてあげるほど私は優しくないけど、横にいてあげます。それだけ。」
彼女は、ぱちぱちと瞬きをした。きっとなんて薄情な人だと思っただろう。
でもそれが私にできる、慰めだ。すると彼女は、ふっと笑った。とてもかわいい笑顔だった。
「それは、とても心強いですね。あなたみたいな、強くて優しい人が隣にいてくれるなんて。」
ひどく優しい笑顔だった。きっとこの子はとても優しい子なんだろう。その優しさゆえに、振り向いてもらえない悲しさゆえに、歪んでしまっただけなんだ。私はどうしてもこの子の幸せを願わずにはいられなかった。この子が愛する彼女がどうかこの子を愛してくれますように。

吹っ切れたのか、さわやかな笑顔でお代を支払って、出ていこうとする彼女を引き留めて、ドライフラワーのポプリを渡した。入れた花は、ラベンダー、ピンクのバラ、カスミソウ、そしてブライダルベール。メモを付けて一言書いた。それを見た彼女は、とてもうれしそうな顔をして、出て行った。女性を愛し、女性に愛を求めた彼女に捧げた言葉、


「I wish your happiness」 (あなたの幸せを願っています)


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