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誰でも簡単、ちょっと意外な犯人

 ミステリーを書いていて悩むのが、誰を犯人にするかということ。プロット段階で犯人を決めるも、書いているうちに意外性がないから犯人を変えてみるか、と考えることはよくあることだ。版元の編集者に犯人の変更を要望されることもあるらしい。
 そこで、簡単に犯人をどんでん返しする方法を考えてみた。

 

例題


 被害者男性Aは下半身丸出しの姿で、窒息死していた。Aの過去を探ると、性犯罪で服役していたことがわかる(被害にあった女性Bは自殺していた)。捜査陣はAの死体状況からして、昔起こした事件の復讐ではないかと筋を読む。

○フェイクの犯人の肉親・近親者を真犯人にする。


 動機があるBの父親が真っ先に犯人として浮かぶだろう。それでは面白くない。父親をフェイクにして、真犯人を肉親や近親者に変更してみよう。同じ動機を持つ別の人間にすり替えるわけだ。
 母親・兄妹・祖父母などを犯人にするわけだが、ポイントはそれら肉親が犯行を行えないように偽装しておくことである。
 小柄で体が弱く、男性を殺害できそうにない母親。未成年の学生で犯罪とは無縁そうに見える兄妹。高齢で殺害が不可能と思われる祖父母。
 仮に祖父が本当の犯人だとしよう。刑事がBの家庭を訪れたとき、祖父が室内で杖をついたり、介護サービスを使ったりしている情景を描写して、犯罪は無理だろう(どうやって犯行が可能だったのか、そこを考える必要あり)、と思わせる必要がある。
 父親にアリバイを作って、残りの家族全員が共犯というのも面白いかもしれない。

○肉親以外の第三者を犯人にする。


 Bの婚約者・恋人(不倫相手も含む)などの第三者を犯人にするわけだ。被害者の女性Bが関係を秘密にしていれば、彼らは捜査線上に浮かんでこないから、意外性が出る。
 変わったものとして、Bにストーカーして、自分がBの恋人だと勘違いしている中年男性(ネットスラングで勘助と呼ばれる男)などもありそうだ。

○最後に一言。


 今まで紹介してきたものは、犯人の動機を変更せずに、簡単に犯人を変えられるというメリットがある。海外ドラマでもよく使われているから効果的なテクニックだと思う。犯人に悩んだら、一度使って欲しい。

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