半分嘘(半分本当)から出たマコト
今日は、この秋から始まった、ユニット(学部)の若手研究者の集い2回目だった。この集まりは、今、一番仲良くしていただいているポスドクのSが中心になって組織されている。声がかかっている全員が参加する、というところまではなかなかいかないが、Sのリーダーシップのおかげか、参加をした人たちは毎回、この会の有意義性を感じている様子。
若手の集まりなだけに、Sが心掛けているのは、なるべくインフォーマルに、気軽なものに、という雰囲気づくりだ。私もそのSの気概に応えて、「真面目な顔をしながらおもしろいことをいう人」キャラで行こう、ということで迎えた前回。
前回や今回は、初顔合わせの自己紹介、自分の研究についてや、研究するにあたっての困りごとを皆と共有することがメイン。私の時も、イギリスの福祉国家建設とキリスト教社会主義について、とくにR H トーニーを中心に研究していますと自己紹介をした。「ふーん。で、なんでトーニーなの?」と聞かれるのは必至なので、ここが笑いのとりどころだと。
「それはだって、彼、ハンサムでしょう?」
(Googleの検索結果をリンクしときます。興味ある方はぜひこちらでお確かめあそばせ)
やった。どっとウケた〜。ノリの良いアメリカ人Sはさっそくスマホで検索して、「おお!キミはこういうのが趣味なんだなっ⁉️みんな、これみて〜」と大ウケだ。やったぜ、これで一気に10人にトーニーの名前を覚えてもらえたぞ!
というのが前回。それで今日が2回目で、前回出席できなかった人の話を中心に会は進み、熱い話し合いが交わされた。そして終了後は隣町Depfordまで歩いて、4人が飲み会へ。
前回、トーニーで笑いをとった印象が強く残っているのか、それ以来、私はそれでイジられる羽目に😆 いや、自分からその話題にもっていっている面もあるのかもしれない。トーニーで盛り上がってくれるのならば、本望だもの。
仲良しのSが、遠慮なくいう。「あのさ、私たちからみると『古い時代の人』ていうふうに見えるだけで、トーニーのどういう魅力があなたを捉えているのか、いまいちピンと来ないんだけど」と。すると他の2人も、そうそう、そうなんだよねーと。それはそうかもね、100年前の人の写真をみせられてもって思うよね。
「そうね、一言でいうならば……アカデミック・ジェントルマンなところ?」と私。全員、大納得。「その表現、一番スッと入ってくる!」と言われた。嬉しいぞ!「でもアカデミック・ジェントルマンだったら誰でもいいってわけではないのよ、その証拠に私はウィリアム・べヴァリッジの研究者じゃないし」
するとS、「わかるー、べヴァリッジは分かりやすい行動家、目立ちたがりだからね」「でしょ?」
と、だんだん大人たちの女子トークに入っていく中、アメリカ人Sが、「トーニーってこの俳優に似ているよな」と見せてくれた画像、全然似ていない。その俳優の写真は、ただビクトリア時代の格好をして口髭をたくわえたハンサムにすぎないのだ。「いやいや、違うんだなー、君たちにはトーニーの『いい人オーラ』が見えないのかい?」笑
でも、こういうやりとりの中から、福祉国家って単なる制度じゃないよね、そのスピリットを今日にどうしたら生かせるか、とか、アメリカとイギリスと日本の福祉社会のあり方の比較、などという話を、国境を超えたここロンドンで忌憚なくワイワイ話せる機会を持てるなんて、なんて幸せなことでしょうか。
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