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(参考) 親の庇護あってこその御栄光ですよ 紫式部日記絵巻 五十日の祝(2) 【簡略版】

隆家様は、隅の柱まで寄って、女房の袖を引いて聞くに堪えない戯れをおっしゃるが、道長様は何もおっしゃらない。

聞くに堪えない戯れを女房に言いかける隆家
隆家と一の御子敦康親王  道長と二の御子敦成親王、三の御子敦良親王

彰子様の御出産に土御門殿が沸き返っている時に、
隆家様の御内心が穏やかでおられたかどうかはわからないが、
何事もなさげに兼隆様と冗談を言っておられた。

皆様だいぶ乱れておいでなので、御用が済んだらすぐに隠れてしまおうと同輩と示し合わせていたのに、道長様が几帳を除けてしまわれた。

隠れていた几帳を除けて

和歌をひとつお詠みすれば許してやろう」とおっしゃるので、
『この五十日(いか)に、あまりにもめでたく久しき若宮様のお歳を、如何(いか)にお数え申したらよろしいのでしょう 』
とお詠みすると、
道長様はお気に召して、二回誦じられてからすぐに、

『私にも鶴ほどの寿命があれば若宮の千年の御代も数えられるよ』
とお詠みになった。

道長様はこんなに酔っていらしても若宮様のことをそれは大切にお思いなのだ。

若宮を抱く倫子 と 中宮彰子 と 道長

道長様は、「中宮様の父として私は悪くもございませんでしょう」「中宮様も私の御娘としてお悪くはございませんよ」「母君も良い夫を持ってお喜びですよ」と酔いに任せて自画自賛をお続けになった。
中宮様は少しお困りの御様子ながらお聞き遊ばす。

倫子様はお聞き苦しく思われたのかお部屋にお帰りになる。

出て行く倫子  御帳台を通り抜けてあとを追う道長

道長様は、「お見送りしないと、母君はお恨みになりましょう」と言って、急いで御帳台の中を通り抜けていらっしゃる。

土御門殿 中宮の御座所を去る倫子 後を追う道長

「こんなことを申し上げれば、中宮様は無作法とお思いになるでしょうが、親がいればこそ子の御身分なのですよ」と道長様はお誇りになる。

女房達は笑って聞いている。

宮廷雀達が、同じ場面で内情を噂し合っているのはこちらです。↓

                       眞斗通つぐ美


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