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12 紀伊守邸での動線図2(空蝉)

📖 空蝉
紀伊守が任地に下りました。
宵闇を待って、小君は自分の車で源氏を紀伊邸に連れていきます。
子供の車なので邸の者も迎えに出て来ずほっとします。

⑧ 源氏は寝殿の東の妻戸に

小君は、寝殿の東の妻戸に源氏を待たせて、
自分は廂の南の角の格子を叩いて声を掛け、格子を上げさせて中に入りました。


「暑いのに格子を下げているのは、西の対の姫君を打ちに来ているからだ」という女房の声が聞こえます。

それを聞いて源氏は、空蝉とその姫君が碁盤で向かい合っている様子をどうしても覗き見したくなります。

⑨ 源氏は妻戸前から南の格子の前まで

妻戸前から、小君が入った後の隙間が少し開いている格子前まで移動して、
御簾の間から、西の方を覗き見ます。

暑いのでこちらの際に立てた屏風の端の方は畳まれているし几帳もめくり上げてあるしで、奥の方まで真っ直ぐによく見通せます。
しかも灯火が近いので奥までよく見えます。

柱に寄りかかって横向きで顔のよく見えない空蝉と、胸をはだけて魅力的な継子の軒端荻を見ます。

⑩ 源氏は素知らぬ顔で渡廊前まで

やがて小君が出てくる様子なので、源氏は簀子を隔てた渡殿の入口の柱に寄りかかって、さもずっとそこで待っていたような顔をします。
(小君が格子から出て来たのか妻戸から出て来たのかはよくわかりません)

女房達が戸締りをしてしまったので、小君は妻戸を叩いて開けさせます。

襖を開けていれば 風が通るから ここに寝るよと襖の前に寝床にする畳を置きます。
女房達は、東の廂に沢山寝ていて、開けてくれた童女も皆のところに寝に行ってしまいました。

⑪ 小君は妻戸から源氏を引き入れる

小君は屏風を広げて 影を作り、源氏を引き入れます。

⑫ 空蝉は源氏の気配に気付き逃れる

空蝉は物思いで眠れぬまま、几帳をめくって入ってくる源氏の気配に気付いて、引き被っていた小袿を脱ぎ置いて、そっと床を抜けて別室に逃げていきます。
長押の下(北廂?)には二人の女房が寝ています。

⑬ 源氏はそのまま軒端荻と契る

源氏はすぐに女が空蝉でないと気付きますが、人違いと言えば面倒なことになるし昼間見た美人ならまあいいかとそのまま床入りします。

成り行きで軒端荻と契った源氏は甘い言葉で言いくるめてそそくさと去りますが、その際に空蝉の脱ぎ捨てていった薄衣を拾って抱えていきます。

⑭ 老女房に見咎められる

小君はすぐに帰邸させようとしますが、夜明け近くの満月が明るくて、妻戸を開けたところで、この家の老女房に見咎められてしまいます。
一緒にいるのは誰かと訊かれて小君が背の高い女房の名を言います。
老女房も妻戸からついて出てきてしまい、渡殿の柱の陰に隠れた源氏のところまで寄ってきて、一昨日からの腹具合の悪さを掻き口説いている途中で突然我慢できなくなった様子で、「ああ痛い痛い」と用を足しに去ってくれました。


📌 辛くも逃れた源氏は、軽率な忍び歩きをするものではないと懲りたことでしょう。

                        眞斗通つぐ美


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