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源氏物語 帚木の巻 概略2(気詰まりな正妻~紀伊守邸へ方違え)

・ 気位高い葵上 と 気を遣う左大臣

ようやく雨も上がり、源氏は左大臣邸へ退出しました。

左大臣邸は隅々まで美しく整えられていて、そこにいる正妻葵上の様子も非の打ち所なく上品に優美です。
源氏は、こういう人こそが皆が話していた信頼すべき妻というものなのだろうと思う一方で、いつもあまりに端正なまま打ち解けず冷静でいられるのは気詰まりで何か不満です。

源氏は、中納言の君中務といった目ぼしい女房達に飽くことなく戯れかけています。女房達は、暑さに部屋着をくつろげてしどけない姿の源氏の様子に見惚れています。

婿殿のお帰りと聞いて左大臣が夫婦の居間にやってきますが、源氏がしどけなく寛いでいると聞き、遠慮して几帳越しに話します。
風が通らなくなるので源氏は顔をしかめ、それを見て女房達が笑うのをたしなめて鷹揚に脇息に寄ります。

・ 方違え

暗くなる頃に、方違えの為に出掛けることになります。
紀伊守邸は最近水も引き入れ涼しいとのことで、行先が決まります。

・ 中流の女への興味

紀伊守が「父 伊予守のところの女たちが大勢来て手狭になっている」「失礼があったらどうしよう」と愚痴っていると聞いて、
源氏は、「旅寝は寂しいものだから女たちの部屋の几帳の隅にでも寝かせてもらおう」と、冗談めかしてはしゃいでいます。

・ 紀伊守邸 酒を振舞われる従者達

紀伊守は急ごしらえの客間を寝殿東面に急ぎ設えさせ、従者たちは早速、泉の湧く涼しい渡殿でを振舞われます。

・ 女房達の噂話を立ち聞きする源氏

雨夜の品定めで面白いと聞いた中流の女のいる家にそそられている上に、今来ている紀伊守の若い義母入内の望みも持っていたほどの女だという噂も聞いて、源氏は興味津々です。

ふと襖の向こう側の女房たちの噂話に聞き耳を立てます。

程度の低い噂話に失望し興味を失いつつも、源氏は、自分の藤壺宮への思慕を知られたら世間からどんな指弾を受けることかという怖れを抱きます。

Cf.『帚木の巻』紀伊守邸へ

眞斗通つぐ美

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