55 なるべく挿絵付き 若紫の巻⑭ 奏楽 クロイツェル・ソナタ的?
・ 初秋の御還り
七月になってやっと藤壺宮は宮中に戻ります。
帝は最愛の方が戻られたことも、増してや懐妊のことも深くお喜びで、御寵愛はますます増していきます。
お腹が少しふっくらされて、悪阻で面痩せなさったのも、また一層、お美しくて、比類のない素晴らしさです。
・ 琴笛の音に聞こえかよひ
以前と同じように、帝は明け暮れ藤壺宮のところにばかりお出ましです。
管弦の遊びに適した季節になってきたことでもあり、源氏を始終お召しになって、琴や笛などいろいろ御下命なさいます。
御前で源氏は宮への思慕を必死に隠そうとしていますが、忍び難く気持ちが洩れてしまう折々に、宮も 源氏への愛を抑えきれず、あれこれと思い悩み続けるのでした。
(📖 いみじうつつみたまへど、忍びがたき気色の漏り出づる折々、宮も、さすがなる事どもを多く思し続けけり)
(ベートーヴェン『クロイツェル・ソナタ』。ピアノが女性、ヴァイオリンが男性の形の動画)
眞斗通つぐ美