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源氏物語 若紫の巻 概略5(尼君の嘆き)
・ 幼げな少女
尼君が「まあ、いつまでもなんて聞き分けのない赤ちゃんなんでしょう」「考えもなく雀を閉じ込めるなんて仏様に背くことですよ」と優しく叱ると、美しい子はそこに座ります。
とても可愛らしい顔をして、ほんのりした眉も、子供らしく掻き上げた前髪から覗く額の形も、髪の生え際や豊かな髪も、全てがとても美しくて、「行末の楽しみな子だな」と目が惹き付けられます。
そうして、突然、愛慕する藤壺宮の面差しとよく似ているから、こう目が離せないのだと気が付いて涙がこぼれました。
尼君は少女の髪を撫でながら、「あなたはとかすのを嫌がるけれど本当に綺麗な髪ね」「でもね、あなたがいつまでもこうして赤ちゃんのままだとお祖母様は心配でたまらないの」「あなたのお歳ならもっとずっと大人っぽい方もいるのよ」「私が死んでしまったら、こんな赤ちゃんのままで、あなたはどうなってしまうのでしょう」
尼君は孫を掻き抱いたまま泣き出してしまいます。
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自らも母君も祖母君も亡くしている源氏ですから、たまらなく悲しくなってきました。
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少女の幼い心にも祖母の嘆きからは何か伝わるものがあったようで、尼君をじっと見つめてから伏し目がちにうつむきます。
下を向いたのでこぼれかかる髪がつやつやと素晴らしく美しく見えます。
「あなたの行く末がわからないままでは、私は死ぬに死ねないのですよ」
側にいた女房も涙ぐんで「姫君の行く末もご覧にならないで、消えるなんておっしゃらないでくださいませ」と答えます。
・ 僧都の話
向こうの座敷から、僧都が入って来ました。尼君の兄に当たります。
「端近では不用心です」「聖の所に、源氏中将が瘧病のまじないにいらしているそうですよ」と言います。
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尼君の「まあ大変」という声が聞こえて、御簾は下ろされてしまいました。
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「世を捨てた法師でも拝見するだけで寿命が延びるような御様子の方ですよ」「さあすぐに御消息申し上げねば」と言って僧都が出ていく気配がします。
源氏もそこで寺に戻りました。
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📖 生ひ立たむ ありかも知らぬ 若草を おくらす露ぞ 消えむ そらなき」
📖 初草の 生ひ行く末も知らぬまに いかでか 露の 消えむとすらむ
![](https://assets.st-note.com/img/1698662481138-Caq1sAy5yY.png?width=800)
Cf.『若紫の巻』北山で若紫を覗き見
眞斗通つぐ美
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