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(参考) このわたりに若紫やさぶらふetc 紫式部日記絵巻 五十日の祝(1)


📌 五十日祝の儀式と宴

11月1日
若宮様の五十日(いか)の御祝いである。
私のお仕えする中宮彰子様20歳でいらっしゃる。
9月11日に無事に二の宮 敦成親王様を御出産遊ばされた。
中宮様の御父君道長様正二位左大臣にお昇りになり、42歳の男盛りでいらっしゃる。
太政大臣はおいでにならないので最高位でいらっしゃる。
若宮様の御祖父君として、お食い初めの餅を差し上げる。
若宮様の御馳走は小さく美しくまるで雛道具のようだ。

紫式部日記絵巻   小さき御台 御皿ども 御箸の台 洲浜なども 雛遊びの具と見ゆ
若宮と若宮の御まかなひ


東の対では、ガヤガヤと賑やかに、上達部に宴が饗されている。


土御門殿にて 寝殿の御膳 東の対の宴

📌 正二位右大臣 顕光様(64)

酒癖のお悪い顕光様が渡殿の橋で酔って大声を上げておられる。

いま二所の大臣も参りたまへり 橋の上に参りて また酔ひ乱れて ののしりたまふ


やがて正二位中宮大夫 斉信様(41)の御進行で、上達部が寝殿の廂にお並びになる。

土御門殿にて 宴果てて 寝殿の御前に上達部参る


顕光様
几帳を引きちぎって、女房の扇を取り上げてみっともない冗談をおっしゃるので、女房達は、「いいお年をなさって」と眉をひそめている。

大納言の君 宰相の君 小少将の君 宮の内侍とゐたまへるに 
右の大臣寄りて 御几帳のほころび 引き断ち 乱れたまふ
「さだ過ぎたり」とつきしろふも知らず 扇を取り たはぶれごとの はしたなきも多かり

斉信様が杯を取って顕光様の側に寄ってめでたい催馬楽を歌って場を収め、座興の管絃なども盛り上がる。

大夫 かはらけ取りて そなたに出でたまへり
『美濃山』うたひて 御遊び さまばかりなれど いとおもしろし

📌 正二位右大将 実資様(51)

実資様は、酔客達と一線を画するように、次の間の柱に寄り掛かって、女房達の褄や袖を数えていらっしゃる。

その次の間の東の柱もとに 右大将寄りて 衣の褄 袖口かぞへたまへるけしき 人よりことなり

何か御様子が際立っていらっしゃるので、酒席でもあり、こちらが誰かもわかるまいと、ちょっと話しかけてみたが、やはり御立派な方だ。
歌を詠む番になると、何気なく「千歳万代(ちとせまんだい)」の神楽歌で済まされた。

📌 従二位左衛門督 公任様(42)

公任様が、「おそれいります」「この辺りに若紫さんがいらっしゃる?」と、表から声をお掛けになる。
「あなかしこ、このわたりに若紫やさぶらふ」

左衛門督「あなかしこ このわたりに若紫やさぶらふ」と うかがひたまふ
源氏に似るべき人も見えたまはぬに かの上はまいていかでものしたまはむと 聞きゐたり

光の君と似ても似つかない方がおっしゃっても、紫の上なんかいらっしゃるものですか。
無視した

公任様っておチャラい?

🐥公任様は、三舟の才の逸話が有名な才人でいらっしゃるのよね。
🐥だけど、お酒の席のお戯れに、式部様をだしに小洒落た真似で目立とうとなさるなんて。
🐥やーね 🐥ちゃんちゃら 🐥おかしいわ。
🐥20歳の頃に、道長様の大堰川の御舟遊びで、漢詩、管絃、和歌のどの舟にお乗りになるか訊かれて、和歌の船にお乗りになったんでしょ?
🐥それで御立派にお詠みになったけれど、後から、漢詩の舟に乗ってればもっと高い名声を得られたのになあ、っておっしゃってたらしいじゃない。
🐥道長様に御自分の才を認めていただいていたとは誇らしい、ともおっしゃってたわよ。

📌 中宮権亮 三位の亮 実成様(33)と 御父君の正二位内大臣 公季様(52)

従三位に叙されたばかりの実成様が進み出て道長様から杯をお受けになる栄誉を御覧になって、父君の公季様は酔い泣きなさる。

三位の亮 かはらけ取れ などあるに 侍従の宰相立ちて
内の大臣のおはすれば 下より出でたるを見て 大臣酔ひ泣きしたまふ
紫式部日記 五十日祝 登場人物

👇概要のみの記事です。

                       眞斗通つぐ美



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