「いっすーくるま」です。単車の事故編⑩
「栄光の岸壁」(新田次郎著)。この本は、新田次郎氏が、実在した登山家を書き現したノンフィクションであると知りました。長い文章です。それなりの決意を持って読み始めましたが、読み進むに従って、私は、このノンフィクションの文字へ、のめり込んで行ったのです。最短で、あらすじを書きます。
「少年時代、友人と2人で冬山登山を決行し遭難します。2人とも意識を失いますが、主人公は、病院のベッドの上で意識を取り戻します。友人が亡くなった事、自らの両足の甲の部分が、切断されて失っている事を知らされます。2本の足が、棒状になってしまった現実に、愕然と落ち込みます。しかし、山が好きなため、山に登りたいために不屈の闘魂で、この棒状の足を鍛えていくのです。足先に血が滲むことに耐え、歩き続けました。正に血の滲むような訓練だったのです。その訓練の結果、日本の名山と言われる山々を踏破していきます。結婚と同時に、スポーツ店の経営者となり活動。そして、最後に、日本人初のマッターホルン踏破に、成功した人物だったのです」
皆さん、想像してみてください。これだけの偉業を達成するために、踵しかない棒状の足で、どれだけの努力をしたかという事です。上下巻には、具体的に書かれてました。私は、読み進むに従って、この主人公の不屈の闘魂に感応していきました。(よし、俺も、復活に向かって、思いっ切り頑張っていこう)。
さらに、読み終わった時には、主人公の不屈の闘魂に、私の心は、すっかり感電してしまったのです。身体中、ギブスで固められ、ただ寝ているだけの私でしたが、(よし、絶対に復活してやるぞ)と心は、不屈の闘魂で燃えていました。ここで、私が感じた思いを書かせて頂きます。人類の英知とは、言葉など無い初期のころ物事を分別するために、1つ1つの物へ名前をつけた事から、言葉が誕生したと言われてる様です。凄いのは、目に見えない心の作用にまで名前を付けました。悲しい、嬉しいなど沢山あります。今でも、新種が発見されると、直ぐに名前が付けられます。さらに、人類の究極の英知は、言葉を文字にした事だと言います。全ての現実を、文字で表現できます。また、心の思いまで、表現出来るのです。文字が消えなければ、その現実と思いは永遠に現存します。私は、「栄光の岸壁」の著者である新田次郎さんにも、この主人公にも会ったことなどありません。しかし、新田次郎さんが、主人公の実績を書き現した文字に触れ、思いっ切り元気を頂いたのです。文字には、それだけにの力があると実感しました。まあ、人を悪くする文字もありますが、良い文字には、必ず人を元気にする力があります。初めは、随分と長い本だなと思いましたが、読了後、不屈の闘魂へ最大の感謝を致しました。「栄光の岸壁」(新田次郎著)は、私の人生を変える一書になりました。何と言っても、寝たままの状態で暇人です。様々な本を読む、良い機会となりました。
そして、次に最も私の人生を、ひっくり返した一書に出合ってしまったのです。それは、やはり先輩が持って来た「ユングの心理学入門」(河合隼雄著)という本でした。世界三大発見者の1人であるカール・グスタフ・ユング(スイスの精神科医)の深層心理学を翻訳されたものでした。この本に何故、感動したのか?それは、今回の交通事故で、心の思いとは、全く正反対の運命としか言いようのない現実について想いを巡らせていた時だったからです。そこには、人間の意識は、深層心理まで含めると全部で9の意識があると書かれていました。
●眼識→目を通して認識する意識(美しい、綺麗、汚い、遠い、近い、眩しい、高い、低い、などなど)
●鼻識→鼻を通して認識する意識(良い匂い、カレーの匂い、嫌な臭い、美味そうな匂い、などなど)
●舌識→舌を通して認識する意識(苦い、甘い、美味い、辛い、不味い、渋い、しょっぱい、などなど)
●耳識→耳を通して認識する意識(楽しいリズム、嫌な騒音、安らぐメロディ、恐怖の爆発音、などなど)
●身識→身体を通して認識する意識(暑い、寒い、涼しい、熱い、冷たい、強風、雨に濡れる、などなど)
●意識→上記5識からの認識に対し、本能的に反応する意識(熱い物へ手が触れたら離す、などなど)
●自我→経験の智慧、学んだ知識が蓄積された意識(6識で認識した環境を智慧や知識で判断し対応する)
私自身は、ここまで読んだ時、この7つの意識まで充分に納得のいくものでした。そして、人間の意識とは、この7つの意識で全てだろうと思いました。皆さんも、そう思いませんか? では、失礼します。