[創作]現代の泡沫
現代の泡、彼らは消える。
泡沫、パッと膨らんで、フッと消え入る。
そんな彼女が可愛かった。
かっこいい大人が、かっこいいままだったから。
みんな泡沫になっちゃった。
誰にも見られないで、誰にも知られないで、
僕だけがそれを知っていて、
そして彼女はいなくなっちゃった。
自然は、動物。宇宙は、愛。
人間、欲。
どうにもならないさ。
こればっかりは。
しかし、どうかね、私たちは
まだ生きていると言うのかい?
人間の欲、コンピュータには用はない。
故に大学にも、用はない。
私は人間を見たいのだよ。人間を。
愛を見してくれ。
もっと言うなら恋を見してくれ。
恋を見しておくれよ。
高らかに光を奏でる宇宙の音は、ただいつも鳴り響いていたというのに、大人たちはそれを踏み躙った。そして言っているよ、「なぜ自分だけ」。
それでも宇宙は音を奏でる。
宇宙は愛を歌い続ける。
僕はそれを聞いて、この孤独な緑に、口を半開きで空を眺めている。
仏が空を泳いでいる。
神が風に宿っている。
ずっと奏でている。自然は美しい。
残酷なのはその美しさが絶え間なく響いているということ。
いっときも止まることなく。
僕たちは今も、この夏に留まっている。
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