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[創作]今回もいい失敗をしたね。

「ええ、でもそれは多いよ...。」

「いいっていいって、その借金と一年分の生活費と、あとカフェでも行ってくつろぎなよ。」

「それにしてもさ、1000万なんて、返せるかどうか分からないよ?」

「だからあげるって言ってるじゃん、返さなくていい。いや逆に返すな。それは昔私を助けてくれたことへのお礼だよ。」

「.............。ありがとう、恩に着る。」

「そうそう、それに別に、働かない年があった方が日本も元気になるでしょう?みんな働きすぎなんだよ。働かない年を3年、5年くらい作ってもいいと思うな。そしてみながやりたいように、創作をする。」

「そうだね、それができたら、日本はもっと元気になるね。」

「うん、だいたいみんなが働かなければならない理由は困窮か社会的体裁なんだよ。だからお金で困窮をなくして、社会的体裁をカウンセリングで取っ払う、そうすれば日本は余裕を取り戻すと思うのよね。」

「そうだね、僕はとりわけ社会的体裁を瓦解させる役割に注力したいな。彼らに威厳を取り戻して、人間としての王者になってもらいたい。」

「それはいいね。みんなが王者になったら、おそらく深い恋愛と情緒が生まれるだろうね。そうすれば私たちは愛を獲得する。」

「そう。僕たちはもっと自由になっていいと思うんだ。それにしても、ありがとね。今回はかなり大きくなってしまったけど、忘れない。」

「いいのいいの、またお茶でもしよう。」

「うん、そうする。」

これはかつて若年期に何があっても誠実な意見交換をするという、契りを交わした男女の物語。彼と彼女は旧友であり、盟友でもあった。男の子の方が事業に失敗し、借金を作ってしまった。というわけで、今回は女の子がそれを補填した。かれこれこのやりとりを双方続けて数百回になる。社会的に成功した彼と彼女は今でも挑戦を止めない。そして日本が休息を取り戻すことが本当の意味で幸福に繋がる、と信じていた。彼ら彼女らはどちらも貧困の出身だった。故に彼らが小さい頃から続けているお互いを助け合う精神は、お金が増えたところで変わらなかった。貧者の一灯はどんなものよりも尊い。彼ら彼女らは今日もそれを行動で示している。

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