見出し画像

絶望に囲まれて  その後

【ピエロの手記75  断章63】

絶望したって 何を今更
じゃ なにか
お前は今まで希望なんてものを
本気で信じてきたのか
言っただろ
銀のスプーンをくわえて生まれてこんかった奴は
希とか望とか言うんじゃねえと

思い出してみろ
ガキの頃 ひがみが服着て歩いていた
それがお前じゃないか

それだというのに
お前 ものすごく頑張ったな
すべてが無駄だとも知らずに
はたで見てるのも気の毒だったよ

「つらいよー 助けてー」って飛び込んだら
ひしと抱きしめてくれる人がいなかったんだから
いつまでたっても駄目よ
心の欠損は諦めるしかねーのよ
誰のせいでもねー
宿命だな

絶望なんかしないとっておきの方法はな
予めすべてを諦めておくのよ すべてだよ
だから俺なんざ
いつも心は平静なもんよ

《 誰だ 
  耳元でささやき続けているのは
  悪魔の手先か
  それとも 神の使いなのか 》

分かっている
絶望の その後

《それは内なるペシミズムとの闘いなのだ》

ペシミズムに勝利した人はいないともいう
でも
ピエロは後ろへはさがらない
激突して散ってもいいと思ってる


 ‟悲しいピエロ”




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?