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再び言う。             人身事故は断じて「事故」ではない。 自殺である。

【ピエロの手記 31】

1 JR武蔵小金井駅のホームに私はいた。
  中々電車が来ないと思っていたらアナウンスが流れた。
  「立川駅で発生した人身事故の影響で、ただいま中央快速線は運転を見      
  合わせています」
  横に立っていた男性が、聞こえるほどの舌打ちをした。
  ややあってその人は急いで改札口の方へ引き返していった。

2 いわゆる「人身事故」は、年間約 1000件 だそうである。(日本)
  『レスキュー・ナウ』という会社がある。
  その会社は、業務の一つとして、鉄道自殺がおこるたび毎に、即刻その      
  ニュースをネットにアップしている。
  レスキュー・ナウとは、❛すぐに救助を❜ というほどの意味であろう
  か。
  私はその社名に、自殺を企図した人への一筋の愛情をみるのである。

3 事故とは、思いがけず・意図しないで発生した事象である。
  しかし、いわゆる人身事故は、意図して決意をもって遂行された自死の
  挙行である。
  人身事故という表現は、ことの本質と深刻さを見えなくさせるのであ
  る。
  「援助交際」という言葉が、契約制少女売春という問題の本質と深刻さ
  を見えなくさせているのと同じである。

4 死なねばならないほどの自己責任なんてないと思う。
  理由はなんであれ、死ぬしかないと思いつめた人の心の闇に
  私の心は共振する。
  『共苦する想像力』という言葉が私はとても好きだ。
  相手の苦しみを共に感じるほどの想像力である。
  子どものころ、いじめの被害者だった。
  いじめる人が、自分が相手の立場だったらどんなに辛いだろうと
  想像することができれば、いじめなんてできないだろう。
  人身事故とという表現は、想像力の欠落を示しているに他ならない。

5 『共苦する想像力』という言葉が、私はとても好きだ。


           "悲しいピエロ”






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