【第7回】仕組み債をめぐる金融機関の不適切な販売実態 手数料に敏感になることが大事だ
リスクの高い仕組み債をめぐり、千葉銀行とその傘下のちば証券、武蔵野銀行による不適切な販売実態が明らかになった。投資をする際に注意すべき点は何だろうか。
証券取引等監視委員会は、2021年11月から苦情が多く日本証券業協会から注意喚起を計3回受けていたちばぎん証券の立ち入り検査を実施し、銀行の顧客を証券会社に紹介して販売する「銀証連携」に関する問題が見つかったことから千葉銀と武蔵野銀にも検査に入り詳しく調べていた。
その結果、金融商品取引法第40条で顧客の知識や経験、財産の状況、契約の目的に沿わない勧誘販売を禁じた「適合性の原則」に反するような行為が長期間、継続的に起きていたと結論づけた。
1993年に銀行と証券会社の相互参入が解禁された際に、同一金融グループ内の銀行や証券会社間で、顧客の非公開情報の共有を制限するために導入された「ファイアーウォール規制」(情報共有規制)は、2022年6月に緩和された。このため、上場企業に限り情報共有手続きが簡素化され、銀行と証券会社の間で情報を共有しやすくなった。
かつては一般人が銀行を利用するのは、預貯金だけだったが、20年くらい前から銀行は系列の証券会社や保険会社の商品を売るようになった。銀行員が推奨したのだから、銀行のお墨付きの優良な商品だと思い込んでしまいがちだが、同じグループとはいえ、銀行と証券会社や保険会社は別会社だ。勧められるがままに入ってしまったために、大損をしてしまった例はたくさんある。
報道によると、顧客からは「投資経験がないにもかかわらず仕組み債を勧誘され額面割れ償還になってしまった」といった苦情があったというが、これはその典型例といえる。
資産形成の話をするときに、最近人気な変額個人年金保険などといった保険という選択肢を出す人がいるが、これは最も選んではいけない商品だ。
貯蓄型保険の保障額はそれほど高くはないが、満期になったらお金が返ってくるので、確かに貯蓄としての役割はある。貯蓄型保険は、「掛け捨て型保険」と「投資信託」の2つの組み合わせで作られている。
投資信託とは、自分の投資金を証券会社などの資金を運用しているプロの投資家に運用を任せるように作られた商品だ。運用を任せるので手数料が発生する。
つまり、掛け捨て型保険と投資信託を組み合わせた商品の場合、手数料は高く設定されている。貯蓄型保険を金融商品として見た場合、高額な手数料の投資信託と同じだ。
貯蓄型保険の手数料が高いのは、掛け捨て型保険の手数料が高いためだが、その手数料は開示されていない。今後、さまざまな金融商品の手数料が開示されていくだろうが、その際に利回りだけでなく手数料にも注目したほうがいい。
金融機関は、口座管理手数料を無料にするといった特典をつけて、商品を売る場合もあるが、資産形成を考えるならば、まず手数料に敏感になることが大事だ。
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