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正しい発音とは何か、カナダ留学での気づき(まとめ)

正しい発音とは何か
「正しい発音」というと身構える人がいる。発音なんて関係ない!みんな訛りが強くてもしゃべってるじゃないか!とか。反対に、やっぱり発音が良くないから日本人の英語は通じないんだよね・・・とか。いずれにしても私たちが持つ英語への苦手意識の中でも、とりわけ強いのが発音コンプレックスだろう。

僕自身その気持ちから出発した。今までさんざん自分の言葉が通じなくて悔しい思いをしてきた。だけど発音がきれいじゃなきゃ英語じゃない、みたいな潔癖主義は好きになれない。帰国子女が英語の発音でマウントを取るようなYoutubeにイラっとした経験、日本人学習者ならありそうだ。英語はもっとグローバルなものだし、公用語だ。世界に15億人いる英語話者の中で、ネイティブスピーカーはたったの20%しかいないと言われている。じゃあ結局、正しい発音とは何か。これをはっきりさせた方が良い気がする。

〇街の中の風景
多言語が聞こえるバンクーバーの街中。カナダにはいろいろなバックグラウンドをもった先生がいた。バイリンガル、マルチリンガルの人もたくさんいたし、そういう人は持っている言語同士が発音にも影響して特有の訛りを持っていた。街を歩いても、ローカルの人も世界中から集まってきたような多様さがあった。

街で英語を聞いていても確かに千差万別の訛りはあった。
カナダで有名なチェーンのコーヒーショップ、ティムホートンズに行った時の事。スペイン語話者と思しき強いアクセントで話す前の客のオーダーがまったく聞き取れなかった。でも店員はそれを理解している。

普段からいろんな人のオーダーを聞いているから分かるのだろう。ならばと自分も試しに日本語訛り全開で言ってみることにした。
「ワンホットコーヒー、スモール、ウィズミルク、プリーズ」
声が小さくて聞き返されることが無いようにあえて大きめの声ではっきりとカタカナで(!)言ってみた。

結果、まったく通じなかった。

人間は聞きなれた音じゃないと理解しづらい。そういう意味ではインド訛り、スペイン訛り、中国訛りは街中にありふれているので耳慣れているのかもしれない。

そうした人たちの人口と比べると、この街の日本人はレアだ。だけど、もしバンクーバーにいる人の3割くらいが日本人であれば、このカタカナ英語は汎用性を持つ可能性はある。店員も毎日のように日本人の英語を聞いていれば耳が慣れて、"one hot coffee, small, with milk please"のことだと脳内変換して理解できるのだろう。きっと数の問題は大きい。

〇音節という概念との出会い

先生に発音が上手くなりたいと言ったら、音節の事を知りたいの?と聞かれたので、発音と言ったらまずは音節(シラブル)が中心にくる考え方のようだ。日本ではあまり馴染みのなかった音節というものに気を遣うきっかけになった。IELTSという国際基準の英語力テストでもスピーキングの評価で、25%は発音が重視される。まずは音節を中心とした英語の強弱の世界観を身に着ける事が大切だと感じた。

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これはカナダの鉄道の社内に貼ってあった標語のような言葉。なんとなく韻を踏んでいてラップみたいだ。これが日本だったら「じょうきゃくの・あんぜんまもる・てつどういん」のように5・7・5のような標語になっている気がする。英語は強弱をつけてラップのようなリズムで言葉を並べるけど、日本語だと5・7・5のように拍の数でリズムを取るので全然違う。

英語は強弱の世界観。これはだいじろーさんが言っていた。この点において母音を中心にした音節という概念を理解しないと、完全に違う音になってしまい通じないという問題が起きる。

〇発音マスタークラスのおさらい

Youtuberのatsuさんが手がける動画の中で語られていた、発音の向上は個々のレイヤーを重ねていくべきという理論はとても合理的だと思った。音素レベルだけで母国語の訛りを完全に矯正することは難しいので、段階を踏んでトレーニングをしていく。

①音素の理解:LやRなどの個々の音をどうやって出すか
②音節とアクセントの理解:僕がbevetableで躓いたように、音節の理解は重要。この単語は4つではなくて3つの音のリズムで構成されている。
swimやspringという単語なら1つの音節なので、素早く言い切る。
③語強勢(単語のアクセント)と文強勢(①と②をセンテンスレベルで発音する、弱化と呼ばれるリダクションも含まれる)
④イントネーションリンキング含む)センテンス・パラグラフレベルでの文章の意味的なまとまりを意識した言い方。発音というよりも話し方、語り口のこと。
マスタークラスの内容に自分の経験を重ねて①~④でまとめてみた。これを順番にレイヤーとして重ねていくと発音が向上できる。

〇スタンダードの音に寄せていくことで通じやすくなる=自分が楽になる

発音がコミュニケーションの妨げになると会話すること自体がしんどくなる。今回発音の基礎を勉強してからカナダへ行ったらコミュニケーションがとりやすくなった。そして現地で教えてもらったいろいろなコツも、ベースの知識があるとスッと入ってくるし、先生のそれぞれのアクセントにも聞く上で適応しやすかった。とりわけ普段日本人の英語を聞きなれていないローカルの人たちと話した時も割とスムーズに会話が進められたのは大きかった。日本や海外で多くの英語を話す日本人に会っているけど、自信満々に話すような人は稀だ。そういう意味では発音の知識はコミュニケーションを取る上で助けになると感じた。

〇日本人に合った向き合い方があるはず

海外の人に道を尋ねるとざっくりだけど何かしら自分の言葉で返して教えてくれる。これが日本だと、自分たちが聞かれた場合、日本人はみんなスマホを取り出してGoogleマップとか乗換案内で正しい(客観的な)情報を相手に伝えようとする。それ自体は誠実で素晴らしいことだけど、逆に言えば間違っても良いから自分の言葉で話すがなかなかできない。

間違えたら点数を下げられる、学校ではそんな風に評価される。だから誰も自分から手を上げない。黙っていれば減点されない。間違ったら周りから笑われる。そんな減点方式が染みついている気がする。だからこそ理論から入ることが大事じゃないかと思った。それが日本人的なやり方な気がする。

ここに書いた動画系の教材や、カリスマ的な英語系Youtuberたち。そして僕が書いた発音に関する経験や考え方、留学を通じての実践などが誰かの役に立てば幸いに思います。ひとまず発音編はこれにて完結です!


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