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最低賃金引上げによる弊害

今年も最低賃金の審議が始まり、中小企業がここまで疲弊している状況でどこまで引きあがるのか注視しておりました。

結果は物価高騰対策優先で過去最高の上げとなりました。テレビ等のニュースでは「賃金が上がるのは助かります」といった労働者側のインタビュー映像だけが流れていましたが、本当に大丈夫なのでしょうか。

自社では業務内容によるところもあるので最低賃金近くで雇用するケースはありませんが、周囲の中小企業の状況を踏まえると、このタイミングでこの上げ幅は少し危険な気がします。

確かに最低限の生活のために最低賃金は上げなければならないという意見は理解できますが、民間企業が原則営利企業である以上、強制的に最低賃金を上げられることで否応なく合理的な判断をしなければならなくなります。通常業務に支障が出る場合は撤退や廃業といった可能性も出てきます。業種によっては合理化によって対応できるシステムが導入されたり、会社として人的にも金銭的にも余裕がある場合は人を教育して高度業務に対応させることが可能かもしれませんが、中小零細企業ではなかなかそのような余裕はありません。

コロナ禍のゼロゼロ融資終了による返済負担の増加、円安に起因する物価高騰、金利上昇と、会社によっては新紙幣対応の負担も出て、追加投資する余裕すらない状況で人件費が5%上がる。人件費比率の高いサービス業や手作業の比率の高い製造業、経営者が高齢で小規模な事業者などは加速度的に倒産・廃業が増えそうです。

技術革新や競争激化による倒産・廃業は経済活動の上である程度は必要かと思いますが、政府や政治の政策失敗や方針転換による不用意な倒産・廃業が増えるということは、今まで蓄積されていた技術やノウハウが継承されることなく失われるということです。政府が【お金】という数字に振り回されて【経済】を蔑ろにした結果、地域社会が崩壊し、急にいろいろな物やサービスが、お金を出しても手に入らない状況が増えてきそうな気がします。


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