シアターレトロマーケットプロデュース公演「それだけでうれしい」映像演出振り返り②
こちらの記事の続き。
今回は120分あった本編のうち休憩までの前半、オープニング~2作品についてのお話です。
引き続き本文中のステージ写真は浮田茉侑さん撮影です。
前説
シアレトではマスコットキャラクターのフルイチくんが前説を行ってくれます。
ちなみに「フルイチくん」という名前は、「シアターレトロマーケット」という名前にもある「レトロ=古」「マーケット=市」、以前の活動拠点であった古市公民館が由来だそうです。
くまのキャラクターは以前デザイン担当の浮田さんが描いてくれて、手足が動くようにパーツ分けしてくれました。ので、セリフに合わせて手足をバタバタさせてVTuberのような感じで活用しています。
前回まではステージ上にフルイチくんが出てきて喋るだけでしたが、今回は吹き出しを増やして喋っている内容をイラストで表示させました。広いステージの真ん中でBGMも無しで一人しゃべり続ける光景がかなりシュールだったなと思ったので……
舞台の始まる一番最初をキャッチーな印象にしてくれるフルイチくんです。
彼の好物はポン酒とぼんじり。可愛い声に似合わず渋めの設定です。
オープニング
ヒップホップのBGMで、モノクロの楽屋風景。各キャストに寄ると一時停止して名前が表示されます。
当日の楽屋裏のような映像をワンカット長回し風の演出で、とのオーダーで制作しました。
実際には3~4シーンをうまく繋げて編集しています。
おしゃれだけど楽しそうな雰囲気を目指しました。キャストさんが17名もいるのでかなり駆け足の紹介になってしまいましたが、インパクトある映像にできたかなと思っています。
作っていて一番楽しかったです。楽しすぎて時間かけすぎちゃいました。
オープニングのラストは、1作目に登場する4人が楽屋から出てきてステージに上がるシーンで終了。ここから最初の作品につながっていきます。
1作目:ラーメンライセ
飛行機の事故で空の上へ行ってしまった家族4人。突如現れた鬼と閻魔より「来世」が書かれた紙を渡され、契約を迫られます。
飲食業、パイロット、、と来世を指定された3人に対してエツコがもらった紙に書かれていたのは「味噌ラーメン」。
なにかの間違いじゃないですか?
空の上で繰り広げられるコメディチックなお話。背景の雲の上は、前公演「あなた100まで、ぼく99まで」の最終話と同じ世界線というイメージで素材を流用しました。
父アキヒコがもらった紙に書かれていた来世は「K-POPアイドル」。
空の場面から「来世」の場面へ転換する際の繋ぎは、アキヒコがK-POPアイドルになって踊る映像を制作しました。
役者さんに踊ってもらって、撮影したものをライブステージに合成。
その後のシーンでラーメン屋さんの店内テレビでその映像が流れている設定にするため、街中や至る所でこの映像が流れているイメージも映像の中に入れました。
この絵を作るために駅前ビッ○カメラへ撮影しに行きました。
がんばった甲斐あり、アキヒコ役の藤井さんは来場された子供たちから「K-POPおじさん」と大人気だったそうです。
そしてラーメンライセもう一か所のキャスト合成シーン。
来世でふたたび出会う一家を見届ける鬼と閻魔。微笑みながら天へ帰っていきます。
人間界用の服装の2人が本来の姿に戻って天へ帰る演出を映像で表現しました。
2作目:ラブレター フロム カナタ
入院する病気がちの少女・遥が、AI文通サービスを使って見知らぬ誰かと文通を行う。
娘が知らない男に手紙を書いていると知った父は、こっそり手紙を開封し、見知らぬ誰かに成りすまして返事を書き……
ぎこちない父娘が、文通を通してコミュニケーションを取って行く、全5編の中でも一番のロングストーリーです。
劇中では映像演出場面は少なめ。舞台上での2人や周りの人たちのやり取り、時間経過を淡々と追っていきます。
ちなみにオープニングアニメーションのイメージは、タイトルの元ネタとなっている「カナダからの手紙」のジャケットです。
私は世代じゃないので元ネタの曲は知らないのですが…この曲を使った全然別のパロディ作品で知っていました。
途中、手紙の文章のみでやり取りが進んでいくシーンがあります。
遥と父、それぞれの手紙は役者さんご本人にそれぞれ実際に書いていただいた文章をスキャンして使用しました。
ラストシーンは、ずっと入院していた遥が初めて行った海。
ここのために作中ずっと映像の使用を控えてきたといっても過言ではない演出です。
私の技術不足で波打ち際の映像が作れなくて、大海原へ立たせてしまいました。知人が南の島に住んでいるので、次回またこういう場面があったときのために海の映像を撮ってこなきゃな…と思っています。
日がゆっくりと落ちてきて、暗転。
休憩を挟むと第2部が始まります。
ところで今回、劇中で使わない大道具がステージの後方に並んでいますね。
この意味は最後の5作目で分かってくるのでまた次回。
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