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シアターレトロマーケットプロデュース公演「それだけでうれしい」映像演出振り返り③

ちょっと前回から間が空きましたが、続きです。今回がラストになります。
休憩挟んで後半の3作についてのお話です。
本文中のステージ写真は浮田茉侑さん撮影。

家族がちゃがちゃ

ある日突然、家族が変わっていた!?…

作:古原史麗 原案:浮田茉侑

一家のお父さんが帰り道に見つけた「家族ガチャ」。回して出てきた紙に書かれていたとおりに変わっていく家族たち。

お父さんが仕事終わりに呑んで帰る道中、飲みの席で会社の人たちに言われた言葉たちを背景に映像として投影しました。

その後の、「家族ガチャ」シーン。今作一番プロジェクションマッピングぽい場面です。ガチャガチャに見立てたカラーボックスに映像を投影しているのですが、しっかりバミって映像とぴったり合う位置に置いてもらうように調整しました。
お父さんに照明を当てると映像が消えてしまうかもしれないということで、パネルに向かってのスポットは映像で一緒に投影しています。左下にほんのりブルー照明を入れてもらい空気感を出していただきました。

お話終わりの転換中、幕間映像は「山口家の食卓」。物語の中で出てきたダイニングテーブルの上に並んでいた食事をイラストに描き起こして順番に絵画のように登場させました。

つくばい

父の三回忌、それぞれの想い…

作:古原史麗

4作目「つくばい」は、今までとは打って変わって縦書きタイトルのみのシンプルな演出で始まります。
法事終わりの田舎の家が舞台、劇中も映像演出は使わずシンプルな演出の中で会話劇が際立つお話でした。

エンディングに田園風景。
田んぼが広がる風景はフリー素材を拝借して、空だけ雲が動くように合成。田んぼの上にも実は雲の影が落ちていて、遠近感を出していました。

お母さんは劇作家 / お父さんは変化球投手

劇作家の母が見つけた答えは…

作:古原史麗

最後のお話は、舞台が始まる1番最初に演じたお父さんと娘の会話劇と同じ世界。
劇作家のお母さんが、姑さんとの会話の中から次に書きたいストーリーを思いついていくお話。

「彼氏だなんて聞いてないぞ!」「お父さんに内緒で文通しようかな」
「今日は何か食べに行こうか」「みそラーメンがいい!」

劇中の会話には、これまでに上演した4作のキーワードが。
実はいままでのお話は、この劇作家のお母さんが考えた脚本だったのです……という伏線回収。お母さんの脳内を表すかのように、舞台後方にそれぞれの舞台装置が並べられていたのです。

カーテンコール

5作目が終わると、最後はカーテンコール。
どの舞台でも、キャストさんの名前を後ろに大きく投影するととても喜んでもらえます。映像演出一番の醍醐味かもしれません。

ちなみにカーテンコール曲はサザエさんだったので、最後にあの家も出しました。

という感じで2時間の舞台終了しました。
実際のオペレーション量としては映像は照明や音響に比べるとはるかに少ないのですが、当日までの制作期間は言わずもがな。
小屋入り1週間前あたりからやたら寝れない夜が続き、いざ小屋入りしてからは余裕なことが多いのですが、今回はけっこうギリギリまで修正を重ねていたように思います。小屋入りしてから映像増やしたり。

ちょうど公演から1か月経ちまして、私の個人的振り返りも終わりようやくひと段落という感じです。
シアターレトロマーケットの舞台公演、ぜひ次回もお楽しみに。

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