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ブルターニュの光と風展 in SOMPO美術館

先日東京・新宿のSOMPO美術館で開催中の『ブルターニュの光と風 画家たちを魅了したフランス<辺境の地>』を見に行った。

行ったのがぎりぎりだったので、東京での開催はもう終了してしまったが、各地に巡回予定。

福島県立美術館:7月1日(土)〜8月27日(日)
静岡市美術館:9月5日(火)〜10月22日(日)
豊橋市美術博物館:2024年3月1日(金)〜4月7日(日)

同時期に上野の西洋美術館でも『ブルターニュ展』を開催していたが、先に鑑賞して、記事も書いている。

西洋美術館の展示のほうが、知名度が高い画家の作品が多かったが、SOMPO美術館の展示は、また一味違い、構成もよく練られているように思った。
写真もほとんど撮り放題だったが、あまり撮りすぎると、後で整理が大変になるので、1周目はただ見るだけにし、2周目に、これぞと思うものだけ撮影。
1周してから必要だと思ったらオーディオガイドも借りてみようと思ったが、説明も詳しいので必要ないかな、と思いパス。

まずは概略。

豊かな自然と独自の文化を持つことで知られるフランス北西部の地、ブルターニュ。本展は、ブルターニュに魅了された画家たちが描いた作品を通じ、同地の歴史や風景、風俗を幅広くご紹介する展覧会です。
深緑の海や険しい断崖が連なる海岸線、平原と深い森とが織りなす固有の景観、また、そこに暮らす人々の慎ましい生活と敬虔な信仰心は、19世紀初め以来、数多くの画家たちの関心を掻き立ててきました。
本展では、ブルターニュに関する作品を多数所蔵するカンペール美術館の作品を中心に、45作家による約70点の油彩・版画・素描を通じて、フランス〈辺境の地〉ブルターニュの魅力をご覧いただきます。

―サイトやパンフから

入り口付近に、作品リストと一緒に簡単な地図も置いてあったのはありがたい。

全体は3章に分かれている。
説明は、主にジュニアブックレットから引用。

第1章      ブルターニュの風景-豊饒な海と大地

19世紀の画家たちは、ブルターニュの自然や人々の暮らしに興味を持ちました。大都会のパリで生活する画家たちの目には、ブルターニュの荒々しい海や緑豊かな森、昔ながらの伝統的な暮らしを続ける人々の姿が、真新しく見えたからです。
画家たちが作品を発表する「サロン」では、ブルターニュを描いた絵が流行したほどでした。
ブルターニュの様々な自然の中で、画家たちがまず関心を持ったのは「海」でした。岩場に打ち付ける荒波や激しい風と戦う漁師の姿を描くことで、ブルターニュの森の厳しさを伝えようとしています

<さらば!>アルフレッド・ギユ

この作品はパンフレットにもなっていてインパクトが強い。
実物はサイズも大きく、かつ詳細に描かれているので圧倒される。
説明を読んでびっくり!なことが。
溺れそうな女性を男性が助けているのだとばかり思ったが、これは男女ではなく、父と息子。しかも息子はすでに息絶えている。そう思ってみるとそう見えるが、知らないほうがよかったか。

このころ、ブルターニュ半島にも鉄道が通ったので、多くの画家たちが、ブルターニュを訪れるようになりました。彼らは、ブルターニュの自然のもう1つの特徴である、平原や森、荒々しい大地の姿を描きました。

<ブルケルムール渓谷、アレー山地>アレクサンドル・セジュ


近代化が進む大都会のパリとは違い、ブルターニュは、伝統を守りながらつつましやかな生活を送る素朴な地域として注目されます。
こうして、民族衣装をまとったブルターニュの人々がたくさん描かれていきました。

<ブルターニュの婚礼>アドルフ・ルルー


<パンマールの聖母>リュシアン・レヴィ=デュルメール

これはポスターにもなっていて、わざとらしくてちょっとねえ、と思っていたが、実物を前にすると意外と心穏やかに鑑賞できる作品だった。


第2章      ブルターニュに集う画家たち―印象派からナビ派へ

ブルターニュの果てしなく広がる海と空は、各地を旅した風景画家たちの心をとらえるようになります。
とりわけ、モネら印象派をはじめとする画家たちにとって、ブルターニュの変化に富んだ海と空はお気に入りでした。

<ルエルの眺め>クロード・モネ


<アンティーブ岬>クロード・モネ

この作品は撮影不可だったので、ジュニアブックレットから。
以前にも見たことがあるけど、やはりいいものはいい。

ブルターニュの小さな村ポン=タヴァンでは、画家ポール・ゴーギャンを中心にポン=タヴァン派が誕生します。ゴーギャンは、印象派が細かな色のタッチで自然を描いたのに対し、はっきりとした輪郭線で囲んだ平らな色の面で描く新しいやり方を始めました。こうした描き方は、「クロワゾニスム」と呼ばれます。

<2人の音楽家>ポール・ゴーギャン
<サン=ブリアックの風景>&<水瓶を持つブルターニュの女性>エミールベルナール

ポン=タヴァン派のひとりセリュジュは、ゴーギャンから、学んだ考え方をパリに持ち帰り、ドニら仲間たちと「ナビ派」をつくります。
「ナビ」とは、ヘブライ語で「預言者」、つまり神の言葉を伝える人という意味です。
彼らは、ゴーギャンの教えを、神の言葉のように大事にします。目に見えないものの表現を重んじ、色の面と線による構成が美しい平坦な絵を描きました。

<さようなら、ゴーギャン>ポール・セリュジエ


第3章      新たな眼差し―多様な表現の追求

首都パリでは、印象派が登場するなど、新しい美術の動きが起こりました。
パリから遠く離れたブルターニュで絵を描いていた画家たちも影響を受け、様々な描き方でブルターニュを描くようになりました。

19世紀末~ブルターニュ バンド・ノワール
印象派や新印象派が、明るい色を使う一方、暗い色でブルターニュの風景や人々を描いた「バンド・ノワール(黒い一団)」と呼ばれる画家たちが現れました。
彼らはブルターニュを中心に制作を行い、主にパリのサロンで作品を発表しました。サロンもこのころになると新しい美術の動きを取り入れるようになっていました。

今回1番のお気に入り。実物はもっときれい。

<藁ぶき屋根の家のある風景>フェルディナン・ロワイアン・デュ・ピュイゴドー



<ラニュロンの松の木>アンドレ・ドーシェ



<ブルターニュの女性>ピエール・ド・ブレ

ピカソと交流があったとのことで、もちろん影響を受けてはいるのだけど、ブルターニュらしさがあっていいかな。

お土産は、いつものジュニアブックレットと、つい、ケルトの本も買ってしまった♬


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