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2か月の独学で中小企業診断士1次試験に1発合格した方法 Part3勉強法編

私が中小企業診断士1次試験で実践した勉強方法を紹介します。科目ごとの細かい話は次の記事で触れ、この記事では全科目に共通する内容を述べます。

世の中様々な勉強方法があり、中小企業診断士1次試験においても同様です。独学で勉強する人、資格の予備校に通う人、最近で有料の資格勉強アプリを使う人もいるのではないでしょうか。勉強法は人によって合う合わないがあり、自分に合うものを見つけることが大事だと思います。また置かれている状況によっても異なると思います。

私は勉強法を選定するにあたり、できるだけ時間も労力もお金もかけたくないと考えており、そのためにはどうすればよいかというのを考えました。たくさんの方法を検討したわけではありませんが、少なくとも独学以外は頭になく、最終的には過去問を中心にやれば最短で受かるのでは、という仮説を持って勉強法を決めました。

仮説を持った背景とそれを実現するために何を考え、何を実践したかをご紹介します。


過去問最強説

根拠

私は過去問を中心に勉強すべきだと考えており、過去問以上に重要視するものはありません。個人的にこれを過去問最強説と呼んでいます。

過去問最強説を唱える理由が主に3つあるのですが、1つ目は別の記事でも触れた、過去問だけ問いて東大に受かった人の話です。東大の入試と中小企業診断士の試験、どちらが難しいかを考えると前者だと思います。東大の入試はあらゆる国内の試験の中で上位に入ると思いますが、その試験が過去問だけで受かるのであれば、他の試験も同じことが言えるのではないか、と思いました。

2つ目の理由は、過去に受けた様々な試験の経験です。私は大学までエスカレーター式の私立高校に通っていたのですが、希望の学部に入るためには定期試験で良い成績を取ることが必要でした。定期試験では同じ科目でも担当する先生によって試験問題が異なるため、いかにその先生の出題傾向を把握するかが大事で、過去問を入手した人が明らかに良い点数を取得する構造になっていました。
問題が回収される科目や新任の先生の場合は、過去問が出回らないため対策が難しく、勉強してもなかなか得点につながらない経験がありました。そういった科目で、試験直後に出題内容をメモし、後輩に共有したことがあり大変感謝されました。
また社会人になってからいくつかの資格試験を受けたのですが、学科試験は基本的には過去問をやっていれば合格でき、中には50問中2問以外は過去問と全く同じ問題がでた試験もありました。

最後の理由は出題側の経験です。業務で社内の研修を担当し、担当科目の試験問題をつくることを経験したのですが、1から新しい問題をつくるのは大変です。新しい分野から出題すると、正しく論点をつくるために内容を完全に理解してないといけません。理解が間違って変な問題となると苦情につながる可能性もあり、リスクが高まります。

出題側は適切な難易度に設定し、各問題の正答率や合格率をある程度コントロールしたいのですが、過去のデータがないのでブレやすいです。なので新しい分野で出題するのは数問に押さえ、大半は過去に出題された分野から出したくなります。自ずと同じ範囲から出題され、論点も似通ってきます。

以上が過去問最強説の根拠ですが、試験によって特性が異なるので、中小企業診断士試験においてどの程度通用するのか、疑問もありました。そこで出題傾向や試験の特性を加味してシミュレーションしてみることにしました。

得点シミュレーション

合格基準のおさらいですが、本試験において目安となる点数は60点と40点です。60点が科目合格ラインであり、科目合計で平均60点以上が合格の条件です。40点は足切りラインで、1次合格するには全科目40点以上である必要があります。それぞれどの程度の理解度でとれるのか、簡単なシミュレーションをしてみました。

例えば8割の範囲を8割正解すれば64点です。これをベースに少し具体化します。本試験は4~5択のマークシートです。絞れた選択肢数に応じて期待値がかわります。例えば全問1択に絞れたら100点、2択だったら50点、5択のままだったら20点となります。また全体の50%が1択に絞れ、残り50%が2択だったら75点となります。個人的にはどの科目についても少し勉強すれば2択くらいには絞れる、といった印象でした。

ちなみにいくらある範囲を重点的に勉強しても10割正解するのは難しいと思いました。理由はその分野の専門家でも知らないような(少なくとも業務で全く使わないような)些末な問題があること、論点がやや不明確で予備校の解説も間違っている問題があることなどがあげられます。

全ての範囲を勉強をするのは大変なので範囲を絞ることも重要です。例えば2割を捨て、残りの8割の範囲を勉強したとします。8割のうち半分(全体の40%)を1択、もう半分を2択にできたとすると60点となり、2割は1/5の確率で当たるとすると4点で、合計64点が期待値となります。60点をとるのであれば、この程度の理解度でよいのです。

一方科目によっては60点を目指すのが難しく足切りラインである40点を目指す場合ですが、全部2択であれば50点となります。苦手半分の範囲を捨て、得意な半分に集中したとします。うち半分を1択、残り半分を2択であれば正解率が75%で48点となります。このように科目の半分を捨てることもできます。

なお6科目64点で1科目48点だった場合、合計点は432点となります。
合格ラインは7科目*60点=420点で+12点となります。この点数を目指した場合、例えば2問(=8点)のばらつきがあるとしても90%以上の確率で合格ラインを上回っている計算となります。
もちろんここまで狙って点数を取れるわけではないので、あくまで目安としての考え方となります。


出題傾向分析

過去問最強説の妥当性を事前に検証するために、近年の出題傾向を見てみました。経済学・経済政策を一例にとると、出題範囲は37項目ありますが、過去3年間(R1-R3年)で出題されてないのが10項目程度あります。出題されている27項目のうち2問以上出題されているところは17項目で、問題数ベースで63%を占めます。
63%を8割正解すれば50.4点、残りの37%を2割正解(5択のまま)で7.4点で合計57.8点となり、2問以上出題されている範囲を勉強するだけでほぼ60点に近づきます。

なお実際の問題を見てみると、過去3年間で全く同じ問題はでていません。少なくとも数字が変わったり、きき方が違ったり、論点が少し違ったりしており、周辺知識を身に付けないと解けません。つまり過去問だけでは受からないが、過去問をやり、多く主題された分野で周辺知識を補えば、最短で合格できるのではないかと思いました。

他の勉強が非効率な理由

・出題されない範囲を勉強してしまう
・出題のされ方がわからないと何をどこまで勉強すればよいかわからない


具体的な勉強法

過去問の勉強法

過去問を中心に勉強すれば合格できることを説明してきましたが、実際どのような勉強をすればよいでしょうか?具体的に紹介したいと思います。

過去問を勉強する場合、以下のような流れになります。

過去問は解いて終わりではなく、解説を読んでしっかり理解することが大事です。答えの選択肢を暗記するのではなく、理解する必要があります。また十分理解できたかどうか確認する必要があり、再度問題を解いてみる(俗にいう過去問2周目をやる)ことが重要です。

過去問と同じ問題が出る試験であればこの勉強方法でよいのですが、中小企業診断士試験の場合はこれではNGです。違う聞かれ方をした時に、答えられないといけません。しっかり理解する必要があります。また同じ問題がそのまま出ることがほとんどないため、周辺知識を補う必要があります。

以下のように、解説を読んだあとに周辺知識の勉強をする必要があります。
勉強の仕方は科目ごとに少し異なりますが、概ねテキストを中心としました。

なお私は間違えた問題だけでなく、理解が不十分でたまたま正解した問題も含めてやり直してました。また初回に正解した問題も、解説を読んで自分の理解があってるか確認します。もし理解が間違っていたら勉強問題にしました。

過去問を解いたら、正誤の結果を本にマークしていきました。
○は不正解、△は正解したが自理解してないもの、自信を持って正解したものは斜線を引きます。正解を斜線にするのは次回以降目につきにくくするためで、丸にしてしまうと目に付くので

1回目の結果は問題番号のところにマークし、2回目で理解して正解したらその上から違う色で斜線を引きます。自信がなかったら右側に△、再度間違えたら○をつけました。また解説を読んでも理解できないものは?マーク、選択肢で理解できてないものは左に丸をつけてます。

問題文や選択肢中にわからない言葉があれば、線を引いてあとでリスト化できるようにします。その場でやろうとすると、作業が複数発生し問題の消化が進まないので、私的にはまとめてやる方が効率的でした。

過去問を解く〜周辺知識の勉強まで1年分ずつやり、日を置いて2周目をやりました。理由は時間をあけないと問題文を見ただけで、どれが答えか覚えてしまっていることが多いからです。なお前回完璧に理解していたところは、スキップし、少しでも効率的に勉強しました。なおここで間違った問題は再度解説および周辺知識を勉強し、3周目をやりました。

なお解説を読んでも理解できず、テキストにも記載がなかったり、全然理解できない問題は捨てることもしました。自分の場合、具体的には理論株価の計算などがあたるのですが、理由は1問に囚われすぎると時間を浪費してしまうためです。同じような問題が出たとしても最大2問くらいなので、他の範囲を勉強した方がよっぽど効率的です。

周辺知識の勉強

過去問だけでなく周辺知識の勉強が大事と申し上げましたが、何をどうやって勉強すればよいでしょうか?
そもそも周辺知識とは何を指しているのでしょうか?



科目はフェーズで分ける

フェーズによって周辺知識の勉強方法が異なります。

まずは科目ごとのフェーズについて説明します。フェーズで分けることでどういう何をすべきかが明確になります。
 私は過去の経験から、勉強時間と得点には以下のような関係があると考えています。


フェーズ①は勉強してもなかなか得点に結びつかない状態
フェーズ②は勉強に応じて得点が増えていく状態
フェーズ③は得点があがるほど勉強してもに結びつかなくなる状態
となります。

限られた2ヶ月という時間で合格するためには、これをしっかり抑える必要がありました。フェーズ①はなかなか前に進めずもどかしいですし、早期に次のフェーズに移行できる必要があります。フェーズ②にあるものは知識が増え、過去問を解けるようになってくるので勉強が楽しい期間です。どこかで見切りをつけないとフェーズ③に入り時間を浪費してしまいます。合格ラインに達したところで見切りをつけることがポイントです。

勉強を進めていく中で成長していくのですが、今どの程度点数が取れるのか、現在地を再度把握する必要があります。同じ科目を続けるのか、違う科目に移るのかを判断することになります。自分の場合は1週間ごとにスケジュールを区切ってましたが、それを延長するのか短縮するのか、状況を見極めて判断していく必要がありました。

一般的に勉強時間がふんだんにある場合は、違う年度の過去問や模試を解いたりして、その得点を参考にしていると思います。しかし自分の場合はそんなに時間をかけられません。また過去問は昔に行けば行くほど最近の出題傾向との差分が大きくなっていきます。出ない範囲を無意味に勉強していくことになりかねません。また模試も資格系の学校が作ってるので、どれくらい参考になるかわからないので、受けませんでした。





使った教材

 主に過去問、テキスト、youtubeの3つを使いました。過去問は同友館の過去問題集、テキストはTACのスピードテキスト(以下:スピードテキスト)、youtubeはダンシ君のサブノート_中小企業診断士合格(以下:ダンシ君)を使用しました。


 同友館の過去問題集は直近2年分が冊子になっており、それ以前のものはPDFでダウンロードすることができます。少し面倒ですが、カバーについている応募券を郵送すると1週間くらいで連絡がきます。


 スピードテキストは勉強する順番に一冊ずつ買っていって、結局7冊揃ってしまいました。経営情報システムなどはテキストなくてもよさそうでしたが、頻出問題を自分でまとめる手間もめんどくさかったので、買ってしまいました。過去5年に出題された問題がマークされているので、範囲を絞る上で役立ちました。なおテキストのみで問題集は買ってません。

ちなみに複数科目まとまったTACのテキストもあるので、どうせ7科目分全部揃えるならこちらの方が割安なので、よいかもしれません。持ち運びは大変かもしれませんが。


 ダンシ君は1問1答を移動中や家事をやっている時にききました。科目ごとに2~5個の動画があり、1つ30分程度です。私は1.25〜1.5倍速できいていました。勉強始めで用語に慣れる時用や、モチベーションのあがらない時の復習用に使い、とても重宝しました。フェーズ①の科目でも2周きけばだいたい用語になれることができました。なお1問1答以外にも解説動画があるようなので、ご興味のある方はチェックしてみてください。

 その他科目ごとに他のyoutubeチャンネルを見たりしたので各科目のところで紹介します。


問題は正誤と理解度で分ける

全体的な勉強の流れ

上述のフェーズに応じて勉強方法がかわります。
フェーズ①は勉強してもなかなか得点に結びつかない状態です。これは専門用語がわかっていない、根本的な理解ができていない、知識が有機的に結びついていないなどの理由があげられます。中小企業診断士試験では、基本は抑えた上で、例外を聞いてくる問題が多いのも理由の1つとなります。

このフェーズで過去問を理解しようとしても、用語がわからず全然頭に入ってきません。私はyoutubeの聞き流しや過去問から用語を拾い、リスト化してきました。リスト化することで用語に慣れ、混同しやすい用語も整理していくことができました。

フェーズ②は勉強に応じて得点が増えていく状態です。私は過去問を理解してきました。まずは過去問の解説を読み、その後テキストで該当する箇所を読み、マーカーを引いていきます。またテキストに一通り目を通し、過去3年間に出題されている範囲については付箋を貼っていき、理解したら外していくという作業をしていきました。細かい数字などは直前に暗記するべきだと思い、付箋を貼ったままにし、振り替えられるようにしました。
 テキストを読んでも理解できない内容や、そもそもテキストに載っていないものもあります(経営法務の民法改正など)。それらはyoutubeで検索して、聞き流しをしました。

フェーズ②では過去3年間に出題されている範囲、過去5年間で2回以上出題された範囲を理解できたことを完了にしました。キーワードを見て、その内容を人に説明できるレベルを目安にしました。
これで出題数ベースで全体の7〜8割がカバーでき、その75%が正解できる見込みがたったからです。この状態での期待点数は下記の通り64点前後となります。
フェーズ②が終わったら、フェーズ③には行かず次の科目に移りました。フェーズ③は勉強時間に対して得点のあがりが少なく効率が悪いので全体の点数をあげるには別の科目に移ったほうが得策と考えました。

なお全体的な流れとしては、内容を理解し、その後暗記する形となります。
ただ暗記しても時間が経つと忘れてしまうため、直前に暗記した方が効率がよいです。なので理解したことはすぐ思い出せるようにメモ書きしておいたり、テキストにマーカーと付箋で暗記する箇所を表だししておきました。


まず最初に過去問を1年分ときます。過去問を最初にやる理由は大きく2つでした。
・似たような問題、同じ範囲が出題される可能性が高い
・どういう問題がでるか把握でき、インプットの質があがる

過去問を1年分とく→正解をみて、カテゴライズ→解説を理解
→テキストで関連知識を増やす→youtubeで補う
を1つのセットとします

解説を読み、問題を以下でカテゴライズしました。


カテゴリーによって勉強方法が異なります。
①は確信をもって正解できた問題です、絞れた選択肢数=1つで消去法でなくその選択肢があっていることを理解してるものです。
②は凡ミスや問題文の読み違いで間違ってしまったが、概念は理解している問題。
③は消去法で選ばれた問題、2択までは絞れて50%の確率で当たったものが含まれます。
④これは内容も理解しておらず不正解だった問題です。また正解したけれど、全くの勘だった問題もここに含みます。絞れた選択肢が2つが③、3つ以上で分けました。

カテゴリーごとの勉強の方法

①過去問は解説をサラッと読み理解が間違ってないか確認します。テキストは該当ページを読んで不足している知識があれば覚えて置く程度です。過去問2周目の際は回答せずスキップしました。勉強時間は全体の1割程度でした。
②解説を読み間違った理由を明らかにします。大抵はひっかけ問題だったり、用語の意味を少し勘違いしたりといった感じですぐ正解に持っていける問題です。勉強時間は全体の2割程度でした。過去問2周目の際は全問ときますが、そこで正解したら3周目は対象外にしました。
③④は一緒です。知らない概念、知識、用語が多いのでしっかり勉強する必要があります。基本的に過去問の解説だけでは理解できないので、テキストをしっかり読む必要があります。またテキストでも説明が十分でない場合はyoutubeで説明動画をきいたりしました。過去問2周目の際は全問とき、正解しても念のため3周目の対象にしました。

なお1年分が終わったら他の年の過去問を解き、全科目最低2年分で不得意科目は3年分やりました。2周目は時間を置いてからやりました。

youtubeはモチベーションが上がらないときや時間がとりづらい平日などに聞き流しとして活用しました。用語になれること、記憶を呼び覚ますことを目的とし、移動中や買い物に行っているときなどに活用しました。

覚えるべき重要な用語はマーカーをつけていきました。


関連する知識などはテキストに書きこんでいきます。
以下は資本金関連でよくでてくる用語で、似たような用語で混同しがちだったので、リスト化して整理しました。

以上です。
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