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富士山力

富士山の力ってすごいよね。
新幹線に乗ったら必ず富士山を見ちゃうし、飛行機に乗ればやっぱり富士山の火口を見下ろしちゃうよね。
あれは有明だったかな、駅から富士山が遠くに見えて、そうすると「あ、富士山だっ!」って必ず言っちゃう。どこからでもちょっとでも富士山が見えようものなら、必ず「あっ、富士山が見えるっ」と誰かしらが叫ぶ。

ある日、電車に乗っていたら、西日のさす窓に日よけカバーが下りていて窓の外は見えなかったのだが、それまで本だかスマホだかを見ていて何気に顔を上げたら、西日でオレンジ色に染まったその日よけカバーにくっきりとグレイの三角錐が映し出されていたのだ。

一瞬のことだった。

乗っていたのは埼玉と東京を結ぶいわゆる通勤電車。
こんなところから富士山が見えるのだろうか。
まあ、見える場所はたくさんあると思うけど、あんなに大きく電車の窓にシルエットが映るのだろうか。

見間違いだろうか。
マボロシでも見たのだろうか。

でもあの三角形は富士山としか考えられなかった。

それからはその電車に乗るたびにずっと窓の外を眺めて富士山を探した。
そして、ついにある川を渡るときに遠くに富士山を見つけた。
「あっ、富士山だ!」

シルエットの富士山を見たのは、川ではなく住宅地を走っていたときだったが、やっぱり富士山は見えていたんだ。

それからは川を渡るときは窓の外を見るようにしている。
ほんの数秒しかないのだが、富士山が見えるとラッキーと思うようになった。

富士山は、スマホばっかり見てないで、たまには窓の外を見よ、と言っていたのかも知れない。
普段そんなことを思ったことはないのだが、富士山だったらそんな力があっても不思議ではない。
やはり富士山には人智の及ばないパワーが宿っているに違いない。

(この記事はポメラで書いています)


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