朱に交われば赤くなる(7)

妹の部屋に入った僕(2)


僕は、改めて、右腕に絡んだレースのブラジャーを震えながら、見つめていた。
こ、これが女の子が身に付ける、ブラジャーなのか?
男の僕が神聖なこれを触ってるけど、いいんだろうか?

妹がもし今のこの僕の行いを見ていたら、僕は袋叩きにあっているだろう。
しかし、気付いた。
これは、いつまでも見てるものじゃなく、着るものなんだと。
でも、これをもし、僕が身につけてしまったら、どうなってしまうんだろう。

ファーストブラに挑む、男子は皆そう思うだろう。
だが、ファーストブラに挑む、女子は何を思うだろう。
ああ、私もやっと、これで女の子の仲間入りだ。
これからは、うんと可愛いブラも付けれるんだ。うふ。

男の僕としても同じ考えだ。
でも、今、僕は自分の置かれている状況を冷静に見直した。
今、僕は妹の部屋にいる。
ここで、僕が妹のブラを着けた途端、部屋の扉が空き、

「あ〜、今日のデート中止になっちゃった」
と、妹が突然帰って来たりしたら、とんでもない悲劇だ。
そして、それは充分ありえる展開だ。
と言うのもこれが女装小説の常套パターンだから。

「いいのよ、妹さんもきっと許してくれる筈」
悪魔の囁きが聞こえる。
「妹さんも大好きなお兄ちゃんが可愛いブラしているのを本当は見たいかも」

そ、そんな事は絶対ない。僕は妹の事は知り尽くしている。
ふと、思い付く。そ、そうだ、ぼ、僕には胸がない。ぺったんこの、この胸には、こんな女の子のブラは、絶対似合わない。

悪魔はふっと笑みを浮かべた。「あなたの足元を見たら?」
僕は言われる儘、足元を見た。

そこには、ふたつの大きめなパッドが、今すぐにでも使ってくださいと言うように落ちていた。

そして、駄目を押すかのように、ブラとお揃いの純白のレースのショーツが形良く落ちていた。

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