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わたしのツインレイストーリー⑫
いつの頃からか、なぜか心に浮かんでくるイメージがあった。
私を包み込む優しく大きな存在。
その存在は、とてもリラックスしていて両足首を広げ投げ出して座っている。
その足と足の間には、私がすっぽりとおさまっている。
絶対的な安心感を感じながら、私も足を投げ出した格好で、そこに身を預けている。
全体重をかけることに何のためらいもなく、私自身の全てを委ねている。
顔ははっきり見えない。
男性だということと、私より体をが大きくてしっかりしているということはわかる。
何の心配も不安もない。
私はその存在に包まれながら、目を閉じて、小さなこどもみたいな心境で、この愛が絶対に失われないことを知っている。
このイメージは、私の願望だったのかも知れない。
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私の育った環境は幸せと言えるものではなかった。
私は強くあらねばならなかった。
父の事業がうまく行かなくなり、副業をはじめるも、信頼していた人に騙された。
母は子育てをしながら働き、私に、父をどうしようもない人だと愚痴った。
男なんて絶対に信じちゃいけないといつも言っていた。
突然、お母さんはお父さんに性の奴隷のように扱われてると、まだ思春期の高校生の私に言ってきたこともあった。
母はお嬢様育ちで、それを鼻にかけるような感じではなかったが、家事や子育ては場当たり的で計画性がなかった。
少女のようなところがあり、お金のことで今泣いていたと思ったら、次の瞬間にはテレビを見て笑っている。
心配したこっちがバカを見る。
精神的に未熟でヒステリックだった。
小学生の時、母の日のプレゼントを一緒に買いに行こうと友達に誘われて、初めて母にお花を買った。
母はお花が好きだったから、どんなお花が喜ぶかな。とか、渡す時、ちょっと恥ずかしいな。とか、そんなことを考えていた。
母にプレゼントを渡した時
母は私に「こんなもの買ってくれなくてもいいからもっと手伝ってくれればいいのに。」と言った。
父は優しかった。
私達こども達のことも母のことも、理解しようとしていた。
しかし自分で事業をしていて、失敗が続き、支払いに追われる中、家族の間には、いつも何か不穏な空気が流れていて、父はいつも疲弊していた。
父と母はお金のことでいつも喧嘩ばかりしていて、ふたりのやり合いを止めるのは、長女の私の役目だった。
私は父が好きだった。
父は毎朝4時には起きて新聞を待ちわびて、投函されるなり、いつも決まった場所で床にあぐらをかいて、新聞をゆっくりと開き、じっくりと読むのが日課だった。
まだ幼い頃の私は時々早く起きて、新聞を読む父の膝に座り、父のじょりじょりの髭に自分の顔を撫で付けていた記憶がある。
父は何も言わず、私のしたいようにさせてくれた。
19才の頃、いよいよ貧乏に歯止めが聞かない生活が続いて、私はアルバイトで稼いだお金のほとんどを家に入れなければならなかった。
兄がいたが頼れなかった。家族からいつも距離をおいていた。
中学から非行に走り、事故をおこしたり警察にお世話になったり、公正する気も見られず、ずっと荒くれていた。
まだ幼い妹の存在が、私に責任感を持たせていたのだと思う。元々責任感が強い性格だったということもあるかも知れない。
私は妹を守らないといけないと感じていた。
恋愛話に花を咲かす友人達がうらやましかった。
お金を稼ぐ為に、私は恋愛はしちゃいけない、恋愛なんてしてる場合じゃないと感じていた。
家の中は整理整頓は皆無で、毎日が行き当たりばったりで、母の精神や体は限界に達して血尿が出るようになった。
このままでは、全てがダメになると思った。
19才の私は、
妹と母を連れて、この家を出ることを考えていた。
親戚のおばさんに相談し、お金を借りた。
父に家を出ることを宣言した日、これまでほんんど怒ったことのない父は、私にお酒が入ったロックグラスを投げつけた。
私はお酒でびしょびしょに濡れたじゅうたんを見つめながら、私が母と妹を守っていくと心に誓った。
3人の暮らしは質素だったけど、平穏で平和で私達は心から笑いあって、少ないおかずでも夕食の時間も幸せを感じられる。
あの頃のなんとも言えない淀みのような地獄から抜けられたことにほっとしていた。
だけどやっぱり生活はきつかった。
妹が中学に上がる寸前だったこともあり、底をつきそうなお金を、新しい制服に回すことを、私はためらった。
引っ越した先の中学に、友達の妹さんが去年卒業したことを思い出した。
私は妹に制服のことを切り出した。
妹もお古でも大丈夫だと言った。
この時ばかりはどうしようもない感情になり、泣いた。
やっぱり新しい制服を着させてあげたい。
新しい制服を買った。
私は私を強くさせた経験が、これまでいくつもあったことを、今、改めて感じている。
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#ツインレイ
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