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黄金道路 #6

 私の生まれ育った白浜(フンコツ)のことは、「えりも拝見」の記述に詳しい。
 庶野しょや市街地から広尾寄りのところに、フンコツという海岸がある。この沖合50メートルの地点に、すり鉢状の空洞のある岩があるが、それが「ドンドン岩」である。
 ここは釣りの名所と荒波で有名なところでもあり、この岩で命を落とした釣り人も数多い。

 この岩から少し離れて、空洞の前に立ちふさがったように大きな岩礁がんしょうがある。
 その左右が沖合から打ち寄せる波の通路になっている。
 空洞と通路は常に白波がたって不気味な感じがする。
 沖合から打ち寄せる波が、この空洞の下部に打ちつけると、バフーという鋭く強い異様な音を発してはねかえり、その度に、波のしぶきが一丈(約3メートル)の高さに舞い上がり、岩肌を洗って流れ落ちる。この響きから「ドンドン岩」と名前がつけられたという。

 打ち寄せる波の音には大小があり、この音が次第に高まるようになると、なぜか風向きが北東風(やませ)に変わる。こうなると付近の漁師は時化しけの前兆として警戒してきたという。
 この空洞は海岸からではよく見えないが、沖合からはよく見える。
 

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