シェア
北島芳樹は、大学在学中、法学部の松江教授のゼミに参加し、教授のフレンドリーな性格に…
美代は短大を卒業したあと、電子部品の問屋の事務として就職した。 芳樹と結婚したあとも…
離婚後、半年ほどが過ぎた暮れも押し迫った時季、芳樹は東北の片田舎の故郷へ向かった。 「…
美代は寡黙な女性であった。 結婚後、芳樹の仕事帰りが毎晩のように遅い日が続いていた。…
芳樹の回想はそこで立ち止まった。 突然、通路を挟んで向かいの座席の老人男性が、芳樹に…
芳樹が生まれ育った『余目』は、山形県東田川郡庄内町である。 JR東日本の余目駅は大正…
粉雪が舞い、寒い一日になりそうな気配だった。駅に向かい左のビルの一階に喫茶店がある。 芳樹は玄関扉を開け中に入った。 中は薄暗く、芳樹の目が外の真っ白な雪景色から店内の暗さに慣れず、やや暫く戸惑った。 珈琲を注文し、地元の新聞に目を通した。全国紙に比べ枚数は少ない。 芳樹は地元欄を開けた。懐かしい地元の小学校の記事が載っていた。 彼が卒業した母校のことが書かれていた。過疎化で生徒が減少し、翌年の三月で廃校になる記事だった。その記事を読んでいると、珈琲が運ばれてき
幸子は独身で、学校の近くのアパートで生活していた。 両親は、いまは新庄にいる。 …
東京へ戻った芳樹は幸子に連絡を入れた。 その後何度か連絡を取り合い、お互い馴染んでき…
急に雲行きが怪しくなり、雷が鳴りだした。 北島芳樹は、地下鉄で神保町駅を降り、水道橋…
芳樹は松江教授宅を辞し、御茶ノ水駅方面に歩きだした。ゲリラ豪雨はすっかり止み、雲間から…
芳樹は小一時間ほどその錦華公園のベンチに座っていた。 そして、徐に立ち上がり、山の上…