マガジンのカバー画像

連載小説 熊雄

15
ヒグマの子と瓜二つで生まれ落ちた赤子の物語。彼が成長するにつれ、特殊能力も持ち合わせていることがわかり、彼の周りの人たちの驚きと畏怖の念を抱く様を描きます。
運営しているクリエイター

#達雄

熊雄(連載①)

小説「熊雄」を連載させていただきます。15回ほどに亘って綴ってまいります。 前回の連載小説…

杜江 馬龍
3か月前
53

熊雄(連載②)

 達雄の父は富山県の出身で、達雄は小さいころから父親に付いて、本州の山々に入っていた。そ…

杜江 馬龍
3か月前
46

熊雄(連載③)

 熊雄が生まれて一年が経った。  彼の姿は依然として真っ黒な、しかも太い毛が体中に生えた…

杜江 馬龍
3か月前
43

熊雄(連載④)

 熊雄、三歳になった。  依然として熊雄の体中の黒い毛は抜けなかった。このまま成長してし…

杜江 馬龍
3か月前
40

熊雄(連載⑤)

 熊雄が七歳の時の春、父親の達雄は熊雄を連れて家の裏山にタケノコ(ネガマリダケ)採りに出…

杜江 馬龍
3か月前
31

熊雄(連載⑥)

 日が高くなり、達雄は竹藪を抜け、見晴らしの良い場所に出て熊雄に声をかけた。 「熊雄! …

杜江 馬龍
3か月前
41

熊雄(連載⑮完)

 その後、熊雄と八重は結婚した。  八重は全身毛だらけの熊雄に対して不安はあったが、見た目より熊雄の性格の良さを選んだのである。周りからは、「八重、後悔するぞ」「やめろ」など様々な批判があったけれども、この人と一緒になると決意した八重であった。  八重が熊雄との結婚をすることについて、名寄にいる八重の両親は複雑な心境であった。八重が帰省した折、母親から熊雄のことについて、種々聞かれた。父親はストーブの前の定位置にドカッと座り、二人のやり取りを聞いていた。そして、 「かあさん