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とある国宝レプリカの話 〜秘密は秘密のままで

それを身につけたり持ったりすると、いつも同じトーン、気分になる。

そういうことありませんか。


私は物の発する言葉とか意思をつぶさに読み取ることはできないんですが、この「いつも同じトーン、気分になる」=「このモノにはこういう意思がある」と認識しています。


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アンティークリングではないんだけど、大分前に国宝のレプリカを手に入れた事がありました。

多分本物から型をとったと思われる、とんでもなく精巧な品で

ご丁寧に、その国宝を管理している神社の印が入っているという気合の入りぶり。

いつ、何のためにそんなレプリカが作られたのか?
以前どんな人が所有していたのか?
調べても全く手がかりがない。


私の予想では、それが国宝に認定されたことを記念して、ごく一部の関係者のために作られたものではないかと思っている。



単純に私はそのレプリカを素敵やーんと思って手に入れ、普段使いしていた。
罰当たりっちゃ罰当たりだけど、私は使いたくてそれを手に入れたので。
野放図に育った北の女には信心も宗教も関係ない、怖い物知らずなところがあるのでね。

ただ神社の刻印は物々しい雰囲気で、さすがに普段使いはヤバい?と気になりつつ、しばらく愛用していたのですよ。



そうこうしているうちに、それを愛用している時、例によって「いつも同じ気分、トーン」になることに気づき、それを追求していくとある物語のあるイメージが浮かぶようになりました。
それが普段の私なら絶対に思いつかない内容で、やけにリアルで細かいのです。


私は普段から日記や文章や短い物語を書くので、イメージで見たままを書いていって、話が一段落するところで一応書くのを止めたんだけど
どうも書いてる最中から、嫌な感じがするというか、見ちゃいけないものを見ている感じがずーっとしていて

いやコレはどうしたもんかねと思っていた時。


たまたま長年の友人と電話することになり、
友人に書いた話のあらすじを喋ったのです。
この友人は、妙に勘が鋭かったり
予知夢を見たりとやや霊感めいたものがある
人。

本当はこういう「嫌な感じ」がする話など、私1人で完結してなかったことにすれば良かったんだろうけど
私1人で書いている時点では私の単なる妄想なんじゃないかとも思っていたので、

友人に「こんなん出てきたけど、コレ一体何だと思う?」と意見を聞きたかったのです。



話をし始めると友人の声が急に低くなり

うん…うん…という相槌も微妙な声色と間隔になり


え、いい話で感動してる?
と一瞬思ったけどそれにしちゃ様子がおかしいんで


「???」


と思いながら物語が佳境になった時
急に友人が



「わっビックリした!」


と叫んだので、こっちもビックリして電話を取り落としそうになりました。
話の内容が内容だけに。しかも夜中の2時とかだったので。


少ししてから友人が

「女の人の声で『やめてーー!!』って叫び声がしたよ。あーびっくりした。…聞こえなかった?」

って言いました。



ああやっぱり。



私が国宝レプリカのイメージから書いた物語の主人公は女性でした。
私が書いた話は、彼女が明るみに出してほしくない暗い秘密の物語だった。
だから書きながら、見てはいけないものを覗き見ている感じがしたのね。


他言して悪かった。
もうこの話は他の人には言わないし
この話をこれ以上深く追求はしない。

そう決めて、私にしては大変良く書けた物語は永遠に封印され、日の目は見ないことになりました。


どこまで本当でどこまでが私の妄想なのかわからないけど、嫌がる人の秘密を暴露しちゃいけないのでね。
それが縁もゆかりもない、何千年前に生きていた女性の秘密であってもね。





その後国宝レプリカがどうなったかと言うと、手放しました。
欲しいという方がいらっしゃったので、買っていただきました。


国宝レプリカ自体のデザインなどは素敵でぜひ愛用していたかったんだけど、使うとどうしても、あの物語が脳内に再生されてしまうので。


国宝レプリカを買っていただいた方から後日連絡がありまして、大変喜んでおられる様子が丁寧な文章でつづられ、最後に
「神棚にお祀りいたしました」
と書かれていました。


そう、あれは神社の印が入った品。
そして日本神話の神様が治める土地から見つかった国宝(のレプリカ)。


神棚にお祀りしたという文章を読んだ瞬間

あれは、祀られたかったのだ
それが一番いいのだ

と、すとんと腑に落ちた気がした。


私が見た物語は、神話や神社というイメージからくる荘厳で神々しいものでは全くなく
遠い昔の、決して自由とは言えなかった1人の女性の暗い秘密だったけど


そういうモノは輝かしい大きな歴史や力に飲み込まれるべきもので
この女性自身も自分の話など飲み込まれるべきだ、明るみにしたくないと多分言っている


だからあのレプリカは宝物として、崇め奉られるのが正しい。


高い所に祀られて崇めらる=ある意味アンタッチャブル。
これからはどんな闇も秘密も
私のようなうかつな輩に、無邪気に探られることはもうないだろう。


私の所に来たのは手違いで、あのレプリカはちゃんと、行きたい所に行ったのだな。
良かった良かった。

というお話でした。

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