年金生活#43

同名タイトル#42で書いた神戸三宮の寿司屋についてもう少し。鯖寿司、箱寿司、柿の葉寿司など、寿司は関西にもあるけれど、握り寿司は東京のものだと思う。しかし回転寿司はともかく東京では一見さんで気楽に寿司屋には行けない。たとえどんな場末の寿司屋でも、値段表が見当たらない中で刺身をつまみで少し切ってくれといって、ビールや冷酒をぐびぐびやって気持ちよくなり、そのうち知らない間に頼みもしないつまみが1~2品勝手に出てきて、最後に5~6貫握ってもらって、お茶を飲んで勘定頼んだら想定以上の値段になっていたということが結構な頻度で起こり得る。もともと江戸の寿司屋は屋台から始まったファストフード店なわけで、本当は、ちゃちゃっと食べてさっさと勘定するのが恰好いいと思う。実家への帰省で今週月曜に立ち寄った神戸三宮の寿司屋は大衆店そのものだ。入口のガラス扉を通して中の様子が分かる。前回初めて家人と二人で入って(もちろん予約などせずに)、つまみを1つ2つ頼んだ後にお好みで握ってもらった。握り、巻物、つまみ、すべてに値段表示がしてあり、握りは2貫づつなので二人で分けて沢山の種類が楽しめる。頼んではいないけれど地元神戸ワインなどもある。一番いいのは店側からの押し付けがましい雰囲気が全くないことだ。客は地元のお馴染みさん、仕事帰り、外国人を含めた観光客など様々。客層が様々だからだろうか、客はほっといてもらえる。自分のペースで食べたり飲んだりできる。握りの値段は回転寿司屋と同じくらいだろうか。クォリティは期待しすぎてはいけない。現に今週月曜は、〆鯖はやや塩がきつすぎ、穴胡巻は海苔がしなびて巻き方も緩く飯つぶが外側にくっついていたりではあったが、空調の効いたカウンターに座ってゆったりと自分のペースで気軽に飲み食いできることのしあわせを考えたら十分だ。自分にとってよい食べ物屋飲み屋の条件は、①予約なしに行ける、②飲んで食べて懐に優しい、③常連さんと店の人間が馴れ馴れしすぎず、どんなお客も公平に扱われる、ぐらいだろうか。ひとり静かに過ごしたい時もあれば、少しお酒が入って店員に声を掛けてみたい時もある。つかず離れず応対してくれる店がいいな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?