怠惰

なんで来ないかって
用事があるんだ。そのうち行くからさ。
前も聞いた?そうだっけ、忙しくってさ。
本当のことなんて、言えるわけがないだろ。
お前らに理解なんてされないんだから。
頭が重くて怠いんだ。今も帰りたくて堪らない。早くしてくれ。
今にも怠くて倒れそうだ。四肢の感覚も鈍い。思考が進まない。この苦しみをお前たちは理解できない。実感を持てない。お前たちが恵まれていて幸福だから。現実が満ち足りているから。多くの友人を持っているから。そんなお前たちと一緒に居れるわけがないだろ。場を白けさせて後悔するのがオチだ。それでまた体調が悪化するんだから端から行かないほうがいい。どうやってもお前たちとは会話ができないんだ。詩や絵画、音楽の美しさを理解していない。アニメにしても漫画にしても変わらない。それらを只浪費して自分なりに解釈をしようともしない。それだけならまだいい。その素晴らしさをいくら説明しようとしてもお前たちは曖昧に笑って流すだけだ。お前たちの空虚な会話に付き合ってやっているのだからこっちの言葉を聞いてくれてもいいだろ。
ああ、もしかしてここが間違っていたのか。そもそもお前たちが気遣ってくれていたのか。俺が何も言わずとも俺を慮って俺に付き合ってくれていたわけだ。じゃあ俺が我儘を言う権利はない。お前たちに貸があるのだものな。当然だ。
「わかった。来週行くよ。」
お前たちみたいな素晴らしい友人を持てて、私はこの上なく幸せです。

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