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モテない女がモテる男と付き合っちゃダメって話

タイトルには、こう書いたが、それは決して一般論ではない。
わたしの個人的な思い込みだ。
けれど、その強い思い込みは、わたしの初めての恋愛のトラウマに裏づけられている。

小さい頃から中学生くらいまで、男の子たちにひどく嫌われ、学年1のブスと呼ばれ、いじめられていた。
(高校は逃げるように女子校に行った)
男の子が怖くてたまらず、すっかり恋愛には奥手になって、初めてお付き合いをしたのは23歳のときだ。
出会いは、わたしが新聞奨学生として住み込んだ毎日新聞専売所、相手は新聞奨学生たちのリーダーをまかされていた、4つ年上の男性だった。

初めてできた彼氏は、かなりのイケメンだった。
真田広之に似てる、とときどき誰かに言われていた。
(当時、真田広之はみんなの憧れだった)
そんなイケメンから声がかかったのは、住み込みの新聞屋という、女性が圧倒的に少ない環境だったから、それ以外に考えられない。
わたしたちは1年その新聞屋で同棲し、その後1年は葛飾区金町の2DKを借りて同棲生活を続けた。

話は大きくはしょることにする。
ある金曜日、いつものように、行ってらっしゃいのキスをして、彼氏を仕事に送り出した。
その夜彼氏は帰って来なかった。
休日前だと、知り合いのところで飲んできて朝帰り、ということは以前にもあった。
あまり気にせず過ごしていた。
その翌日の夜も、彼氏は帰って来なかった。
携帯に電話しても、ずっと留守電だった。
あぁ、女の人だな、と思い始めたのは、いつだっただろう。
日曜の夜中に、疲れ果てた顔で彼氏が帰ってきたとき、わたしは不思議と落ち着いていた。
「女の人?」 
と聞くと、彼氏は
「うん」
と答えた。
ただ、彼氏の話を聞いた。

前からいいなって思ってた女の人がいた。
その人が、今度部署が変わることになった。
「ふたりでお別れ会しませんか」
と食事に誘った。
子供の頃の話をして、盛り上がった。
「これからドライブに行きませんか」
と誘った。
「彼女はいいの?」
と聞かれ、
「いい」
と答えた。
そして、箱根、犬吠崎などを、2泊3日ずっと車中泊しながらドライブした。
体の関係は持ってない、けれどキスをした。
その人ととりこと、どちらが好きなのかわからない。

話を聞いて、彼氏はほんとうにその人のことが好きなんだ、と思った。
子供の頃の話をした。
2泊3日、箱根、犬吠崎あたりをドライブした。
キスだけした。
この人らしい、この人のいつもの恋愛傾向だ、と思った。
わたしはその夜のうちに部屋を出ていき、やはり都内にいた弟のアパートに身を寄せた。

そのあとちょっと揉めたことがあったけど、それもはしょることにする。
わたしは学習した。
イケメンは、モテる。
モテる男というのは、好きになった女からも同じく好きになってもらえる。
モテる男と付き合ったら、いつかその人は誰か他の女のところに行ってしまう。
その後わたしは決して、好きな人、モテる人とは付き合わなくなった。
付き合う相手は、好きじゃない人、モテない人に限る、だって最愛の人を失うのはつらいから、そう思った。
(そうして付き合ったダサい彼氏も女性問題以外の問題があったから、それは決して正解ではない)

わたしの失恋が、ここまでトラウマ化してしまったのはなぜだろう。
いちばんに思うのが、わたしが男慣れしていなかったことが理由なのではないか。
23歳までお付き合いなんか全く未経験のモテない女が、いきなりモテモテのイケメンと付き合った、そのことが、免疫のなかったわたしの記憶に強烈に焼きついたのではないか。

今でもその元彼を忘れられない、そんなことはない。
ただ、その元彼は、今もわたしの恋愛傾向に、大きな影響を与え続けている。



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