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ベリーショートにしてください

土曜日散髪に行ってきた。
カット1,760円というリーズナブルな美容院を、一度ためしてみたかった。
サンキューカットならばもっと安い。
けれど1,760円の美容院ならば、サンキューカットより、もうちょい手をかけてくれるのではないか、そう思った。
わたしは割りと見た目に気を遣うほうだ。
なぜならば、わたしは自他共に認めるブサカワだからだ。
ブサカワをあなどってはいけない。
ブサカワは、髪型、スタイルにこだわることで、雰囲気美人も夢ではないからだ。
美容院には、ひとりも客が入っていなかった。
隣の床屋は客でいっぱいなのに。
女性にはあまり気に入られていない美容院なのかも知れない。
一抹の不安を感じながら、美容師さんに言った。
「ベリーショートにしてください」
一度言ってみたかったセリフだった。
ベリーショートは、髪型でのごまかしがきかない。
ベリーショートは大人の髪型。
ベリーショートは個性のかたまり。
ベリーショートは最先端のおしゃれな髪型。
美容師さんは、わたしのえりあしともみあげにバリカンを入れ、全体を丁寧にカットしてくれた。
結果生まれたのが、おじさんみたいなおばさんだ。
しもぶくれの顔立ちに、美容師さんが整髪料で立ててくれた髪が、まるでパイナップルのようだった。
正直に言う。
気に入らなかったわけではなかった。
それどころか、鏡を見て
「あ!いい!
誰かに見てほしい!」
と思った。
確かに雰囲気美人とはほど遠い。
髪で隠されていないほっぺたはまるまるとしている。
顔の大きさが強調されている。
けれど、鏡にうつったわたしは、めちゃくちゃいい人そうに見えた。
わたしって人相がいいんだな!
そう思った。
明日からまた平日、作業所が始まる。
この髪型に合わせて、明日はなにを着ていこう。
この先ずっとベリーショートを続けていくかはわからない。
けれど、強くなりたいとき、自分に気合いを入れたくなったとき、また美容院で
「ベリーショートにしてください」
と言ってみよう。
そう思う。




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