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ラジオ番組(再投稿)

職場にラジオが流れていた。
隣には伊勢谷友介激似のイケメンが座っていたから、そっちに気を取られてたいして聴いてなかった。
ふと、イケメンが
「あっ、氣志團だ。」
と言った。
確かにそうだった。
One Night Carnivalだ。
特徴的なイントロだ。
わたしは耳を済ませた。
イケメンと一緒に聴く、ということも気分を盛り上げた。
歌は終わった。
聴き終えたしちょっとイケメンと漬け物の話でもしようかな、と思っていたところに、次の曲が流れた。
イントロを聴いてわたしは愕然とした。
またOne Night Carnivalだ。
2回もいいよ、なんで?ラジオじゃなくてCDなの?などとイケメンと騒いでいると、それは誰かのカバーだということがわかった。
ボーカルは女性だった。
そして、繰り返し繰り返しOne Night Carnivalは流れ続けた。
全部違う人のカバーだった。
しかも、誰が歌っているのかもわからない。
DJも入らない。
脳は5回目くらいでクタクタになってきた。
イケメンと
「すごいアレンジしてあるね」
「この声誰かな」
なんてはしゃいでみてはいたけれど、脳はもう飽和状態だった。
もううんざりだ、と思った。
その地獄は1時間続いた。
わたしは10回か12回のOne Night Carnivalに苦しみ続けた。
その番組が終わるとホッとした。
イケメンも、ホッとしたね、と言っていた。
帰ってきてわたしは死にそうにくたびれ果てている。
氣志團なんかもう聴きたくない。
そして、なぜだろう、今は伊勢谷友介激似のイケメンに対するときめきも、少し鎮火している。

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