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羊毛フェルト布教

7年前の入院時、精神科病棟で一緒だったKさんと、くら寿司に行ってきた。
18歳年上の男性患者さんで、たいした趣味人だ。
芸術関係では、油絵、クロッキー、ウクレレを習っているという。
そんなKさんに、羊毛フェルトを勧めてみた。
わたしの趣味だ。

かつて入院していた5階病棟の看護主任から、置き場に困るほどの大量の羊毛フェルトのお下がりをもらっていた。
Kさんに、わけてあげる約束をした。
今日のお昼にくら寿司で別れたけれど、またラインで連絡を取り、Kさんとわたしの住まいのちょうど間のところにあるスーパーで、再び待ち合わせた。

看護主任にもらっていた色とりどりの羊毛を少しずつ包み、ダイソーのフェルトマット、1本針、3本針、5本針のフェルトパンチャー、これもお下がりの羊毛フェルト初歩本に、ハマナカとダイソーの羊毛フェルトキットまで1つずつつけて、Kさんに渡した。
(それほどたくさんのものを渡せるほど、大量のお下がりをもらっていた)
もしかしたら、ありがた迷惑だったかも知れない。
けれどKさんは、いくつになっても趣味に関しては好奇心旺盛な人だ。
面白がって、チャレンジしてくれるのではないか、と思う。

待ち合わせたスーパーで受け渡しだけ済ませて、すぐまたKさんと別れ、グループホームの部屋に帰ってきた。
しばらくして、Kさんからお礼のラインが来た。
返信に、
「またいつかごはんを食べに行きましょう」
と添え、Kさんからは、
「そうですね。
またいつか行きましょう」
と返ってきた。

羊毛フェルト仲間がほしい、と思う。
作ったものを見せ合う。
いい刺激になるだろう。
Kさんは、やりこみ派だ。
わたしより上手くなるかも知れない。
趣味仲間っていいな、と思う。
それはもしかしたら、恋人より貴重な存在なのかも知れない。


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