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神田川・秘密発見の旅 後編39 万世橋の界隈は秘密がいっぱい、溢れている

後編39  万世橋駅遺構は面白いスペースだな

 JRの秋葉原という駅は総武線と山手線が交差している駅なのだが、昔から乗り換えの難しい駅だった。総武線・京浜東北線と山手線が狭い場所で十文字に交差しているからで、建て替えられた今の駅構内は3階建てになっている。
 電気街に出るにも、駅前広場に出るにも1階改札口を通らなければならないから、どの電車で到着しても1階に降りる。乗るのも1階からになる。2階は山手線と京浜東北線のプラットフォーム(1番線から4番線)で、階段またはエスカレーターで上がるが、ここは3階の総武線プラットフォーム(5番線・6番線)に上がるための通過ホームにもなっている。駅舎の全面改築が行われ、案内板などは分かりやすくする工夫の跡が見られるが、たまに乗り降りする人には分かりにくい構造に変わりはない。

 そのせいでもないだろうが、秋葉原駅前は若者がたくさん生息している。やはりお目当ては電気製品、電気部品、パソコン端末、モバイルなどだろうか。コロナの前は観光客で賑わっていた街だったが、今は観光客を見かけない。
 中央改札口を出て広場を横切り、御成街道へ出てそこを左に曲がる。
 何歩も歩かないうちに万世橋のたもとに出る。橋を渡りきった交差点の角に「肉の万世」の看板が見える。万世の裏手、路地の少し奥まったところに万世ラーメン(拝骨麺)があって、そこで昼飯にした。1時半だったが客はまばらながら途切れずに入ってくる。若者が多い。

若者が立っている左手の橋塔には「万世橋」の表札がある
なかなか立派な橋塔だ
万世橋の袂にある「肉の万世」のラーメン

 お腹がくちくなった所で、万世橋を横目に見て万世橋駅遺構を覗きに行った。

おしゃれな街に変身

 半地下のトンネルを通って階段を上がると、そこはかつて駅ホームがあった所。板張りの短い廊下のようになってはいるが、そこがプラットフォームだったことはすぐに実感できた。というのはガラスで囲われた旧ホーム(デッキ)の真ん前には線路が見え、神田駅方面から来た中央線の電車が轟音と共に通過して行ったからだ。

かつては駅ホームに上り降りしていた地下道
ここは万世橋駅のプラットホームだったところ
中央線の線路は目の前

デッキの奥には小洒落たカフェがある。万世橋駅に想いを馳せながらコーヒーを飲む仕掛けで、これも国鉄が民営化されてJRとなったからかと思う。

見学デッキの新宿寄りにはカフェがある

 元々が駅だったから遺構とはいえ建造物は長細い。1階部分は交通博物館だったそうだ。とすれば、その昔、高校の修学旅行で来たはずだ。ボタンを押すと列車が動いたり、閉塞機が降りたり上がったりしたのを覚えている。交通博物館は平成18年(2006)、埼玉市大宮区に移転している。

万世橋駅の駅舎だったスペース
(その後交通博物館となり、博物館が移転すると小洒落た駅ビルとなった

 博物館移転後の空きスペースには2階のプラットフォーム遺構と同様、お洒落な店が並び、有料の休憩場所(マーチエキュート神田万世橋、30分 200円)もある。ここも若い人が目立っていた。地ビール(1グラス750円)を注いだ小ぶりのビアグラスを持って、テラスで談笑している若者の姿は、ここはパリかロンドンかと思ってしまうほどに洗練された景色になっていた。天気も良く、ビールを一杯行きたいところだったが、トシヨリには似合わないなと思い、止めにしてしまった。

 手ぶらでデッキに出た。
 神田川はすぐ目の下にあって、上流の昌平橋が見える。その上にグリーンを色濃く塗られた鉄橋(松住町架道橋)が見え、総武線の黄色い電車が通過して行くところだった。その先は高層ビル群になっている。

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