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7/18 『ぼくらの魔女教師』を読んだ

今度の学校は伝統あるお嬢様学校、相手は学校を牛耳る「魔女」と呼ばれる教師とその配下たる「魔女軍団」総勢50名……と、このシリーズで一番おもしろそうなあらすじ。では、あったんだが……中盤まではなかなかスリリングでよかったけど、終盤にさしかかると勢いは増すもののちょっとスリリングの性質が変わってきて、そして最後にはギョッとしたまま飛び抜けていってしまった。クスリとアヤしいキノコと苛烈な男性嫌悪思想で教師や生徒を支配下に置いているかに思われていた教頭が、実際はクスリもキノコもハッタリで、男性嫌悪はその通りで、その上で今の文明社会を男とキリスト教の罪の産物として批判して終わる……英治たちは健闘するも、しまいにゃこれが現実か幻覚なのかわからなくなり、劇終。マジかよ。
発達しすぎた文明社会への警鐘というだけならまだわかるが、しかしそのために学園をカルト化し、男性である校長を追い落とすために飼い犬が殺されたり娘がストーカーに刺されたりしてるのは度が過ぎている。はっきりと魔女たちの仕業とは言われないのだけど、じゃ魔女の仕業じゃなかったら何だったんだあれは……それが過剰文明社会のもたらす一側面ということなのか。
確かに振り返ってみれば、冒頭に学園を支配する教頭たちの話を聞いて、そこで「魔女」というキーワードが出てから、英治たちはずっとその言葉に憑りつかれていたように読めなくもない。それは『ぼくらの魔女戦記』で本物の魔女と戦った経験があったからだが、なまじその経験が、相手の姿を陰謀論的に肥大化させ、英治たちには珍しく空回ってしまったのか。幻覚キノコ料理(実際にはただのキノコと教頭・談)をあえて食べ、洗脳されたふりをして教頭に近づくシーンがあったが、狂人の真似とて大路を走らばすなわち狂人なり、あそこから実は英治は自ら己を洗脳にかけてしまったのでは……いやいやいや。最後、1年間監禁して洗脳しきった女生徒を「今度はこの子が新しい魔女になるの」とか言ってるし。目を覚ませ。何も解決してないぞ。
校長がクリスマスに命を狙われるという話も投げっぱだったし、この『○○教師』シリーズはこれで終わりだし、この後とうとう最終シリーズ『第二次七日間戦争』があると知らなかったら、心中穏やかではなかったかもしれない。その最終シリーズに対しても、今は期待と不安がせめぎ合っている。いやあ、宗田先生。ついていけるか心配だぜ。

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