1/6 『新本格魔法少女りすか 4』を読んだ

面白かった。
いや、終わった……めちゃめちゃ終わった。よくもまあ、完結したものだ……それも、完膚なきまでに完結した。いちど中断した作品を、よくここまで完膚なく終わらせられるなと感嘆した。
確かに、年月を経たことによる文体というのか雰囲気というのかの微妙な変化というのはあり、西尾維新といえどいろいろ変わるものはあるんだなあと思えるところはある。キズタカそんなに駄洒落好きだったっけ?とか。ただ、そんな言いがかりも最後のあの台詞を聞けばイチコロよ。全て許せた。許すばかりか感謝感激だった。
それにしても、17年後の姿に変身する魔法少女の物語が、第1巻から17年後に完結するというのもすごいが、そうした17年後の世界である2020年、新型ウイルスが蔓延し緊急事態宣言が発令され、県をまたぐ移動が制限される現在とーー作中の「魔法使いは海を越えられず、長崎県に閉じ込められている」という設定が、まさかリンクするなんて! んんん、かえすがえす、去年のうちに読んでおかなかったことが悔やまれる。
伏線のあれこれも思ったより回収されたのもえらい。楓の存在までちゃんと拾われるとは。楓の正体、思いもよらなかったけれど、順当に考えるとなるほどそれしかないなと思える。
再生された世界で、今まで殺しあい、死んでいった人々があらかた甦っていたのもよかったし(『六人の魔法使い』たち、それなりに充実した人生を送っていやがる)、在賀さんとの関係も……まあ、体よく使われてる感がなきにしもあらずだが……よしということにする。そのへんは想像の余地だろう。生まれた娘も、おそらくりすか本人ではないのだろうと思う。親の思い通りになる子などいないのだから。17年にわたって、大変楽しませてもらった。

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