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8/3 『BEATLESS 上』を読んだ

物語の舞台が100年後の未来ということで、ちょうど前に読んでた『PSYCHO-PASS 3』も2120年の設定だったので、別々の方向性に伸長した二つの未来を見比べられたようで面白かった。
長谷敏司先生の作品は、だいぶ前に『あなたのための物語』を読んで以来だが、文体の感じが違っている気がする。もう記憶が相当曖昧だけど。あれはかなり陰鬱で、なかなか楽しいとは言い難い話だったという印象だけ残っていたが、こちらはコメディチックな要素もあり、朧気な記憶でちょっと構えていた気も緩んだ。
作中で取り沙汰されるアナログハックという概念に対して、なんだかあんまり恐怖とか抵抗を感じることができず、果たしてこれは俺がアラトのようにチョロいからなのかどうなのか、と不安に思ったりする。モノや機械が人間の意志を操作・誘導やがては支配することの危険性は理解しつつも、何かに支配や洗脳されてない人間などいないしなァ、とか。それをするのがヒト型のモノだから拒否感を感じるけど、ディスプレイに表示されたメッセージなら自然と受け容れてしまえるだろうし。モデルを使って集客するくらいのことは今でも今までも人間で全然やってることだし、人間だって人間をハックするんだからモノが人間をハックするのだって別にアリなんじゃないの? ではモノをヒト扱いするのがアリなら、ヒトをモノ扱いするのもアリになってしまうのでは?
というか、ヒトがモノとなってヒトを管理・支配するようになった世界こそ『PSYCHO-PASS』であったな、よく考えたら。アナログハックの逆じゃないか……デジタルハック? でいいの?
たまたま時期を同じくして読んでいたが、思った以上に鏡合わせの二作品だった。折角なので、このまま交互に読み進めていくのも一興だ。

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