4/15 『ダンジョンズ&ドラゴンズ』を観た

原作であるTRPGに触れたことはないのだけど、原作があまりに諸々の元祖すぎるために、その派生作品や後継作品などを思い浮かべることで、それらを経由して原作はこうなのだろうと想像しながら楽しむことができる。ミミックなどがその好例だ。つまり本作は「原作を知らない人でも楽しめる」は前提として、その上で「原作を知らなくても原作を知っているかのように楽しめる」というつくりになっていたと言える。結果的に間口が広くなって、予想を超えるヒットになっているのはそういう効果もあってだったんじゃないか。
高名なる魔法装備品から銘もなき普通の斧まで、マークをつけられた金貨から無造作にかき集められた金銀財宝まで、アイテムを手に入れ、そしてそれをどう使うかということが終始物語を動かすカギになっており、ゲーム性を感じると共にドキドキワクワクさせられる。そもそも主人公たちは窃盗や強盗、つまりアイテムを得ることを生業にしていたわけだし。さらに言うなら仲間たちさえもアイテムの延長で、今回敵役となった二人もかつては共に仕事をしていた仲間だったし、目的のために今ある仲間をどう使うか、使うためにはどう振る舞うべきか、そして何より娘の信頼を取り戻すためには何をすべきだったのか、ということを考えるのが主人公の役目だった。仲間をモノ扱いとは言い方が悪いけど、まあ冒頭のジャーナサンの扱いを考えれば……ね。この世界ではそのくらいの逞しさが許されるし、必要なのだと思える。
モンスターも魅力的だった。中盤のあのデブドラゴンとか、その肥りきった身体でどういう動きをとれば一番手っ取り早く動けるかを熟知しているあの感じ、ドラゴンというファンタジー生物の極地からお出しされるそのリアリティは、近年稀に見るものだったと言える。あれは傑作だった。
大ヒットしたということだから、続編にも大いに期待できる。原作がゲームであるゆえに、パーティーや主人公が変わっても柔軟に対応できるのが強い。今作の仲間たちが今度は敵に回るとか、もしくは今作のボスであった闇の魔法使いとすら一時的に共闘しても面白いよね。掛け値なく邪悪だけど、それでも2年はあの詐欺師のもとでいろいろ便利に使われてたんだなあとか思うと、なんかそうできる余地がある。それもまたアイテム性だろう。もっといろんなプレイを観てみたい。

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