8/18 『一度も撃ってません』を観た

面白かった。
コメディ作品だってのもあろうが……裏社会の、ろくでもない奴らが世知辛い現実に耐えつつ、さしたる希望もなく奮闘する様を描いていながら、全体的に優しさが包み込んでいる。老いを肯定するでも否定するでもなく、そんなことは関係なくただ自分のやりたいことをやる、というところに格好よさがある。でも、撃てないんだよな。
改めて不思議な設定である。一度は名を馳せたが今は落ち目の作家で、作品の取材のために殺し屋稼業、けれど自分では一度も銃を撃ったことはなく、代わりを立ててその実行役にその時の心境を取材する。っつーかタイトルが出落ちじゃん! そうは言っても撃つんだろうなーとか思ってたけど、本当に撃たないし撃てないんだもの。作家がリアリティを追求して殺し屋になったのか、元々殺し屋なのが創作に目覚めたのか、お膳立ては全て済ませて実行だけさせてるのか、それとも本当に勘違いされてるだけで取材しかしないのか、はっきりしないことが多い。けどそれが魅力でもあるか。細かい経緯だり設定だりはともかくとして、今そこに有る様を観て、それで楽しめるものだった。

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