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7/18 『PSYCHO-PASS サイコパス 3〈A〉』を読んだ

とうとう現行最新時系列のノベライズに到達した。これが全3巻でその後劇場版第3作目のノベライズを毎月ごとに読むとなると、11月には最前線へ追いついてしまうことになる。その頃には4期の話が出てきているとタイミングぴったりで嬉しいのだが。
前回の劇場版第2作目からおよそ3年ほど経ったということで、新たなる面子のもと新たな局面を迎える公安局刑事課一係。しかし3年とは考えてみると結構長い。キャラクターも刷新されるわけだ。とりわけ第一章では新主人公である監視官2人について多く描写が割かれている。これまでとは一味違った新世代であるということを顕著に示すのが事件の捜査パートで、監視官の2人が現場調査や聞き込みに率先して駆け回り、執行官たちはそれを訝しみながら後をついていくという、1期とはあべこべな描かれ方をしている。
灼の特技であるメンタルトレース……これがまた特異すぎて賛否を分かつことにもなりがちな設定だが、まあ魂が数値化されてる世界だし、他者への共感能力が異常特化した人間だっていてもおかしくはないかもねとは思える。それに、灼のメンタリスト技能を発揮するためというエクスキューズが、事件現場にわざわざ出向いたり関係者と対面で事情聴取したりなどの「昔ながらの刑事の捜査」を必要としているのだと気づいた。刑事(デカ)の気風を持った奴らがとうとう一人もいなくなってしまった一係において、刑事の魂を呼び起こすのにもこの技能は一役買っていたのだ。
あと、小説でのメンタルトレースの描き方は冲方丁のクランチ文体っぽさがすごい。まあ、共同脚本だしな……封印解除もうなずける。
新たな執行官たちの描写はまだ少ないが、刑事課一係の面々を犬にたとえるところなんかはよいと思う。それに、前作からの唯一の居残りである雛河が、どんな気持ちで一係の最古参になっていたかということも語られていてよかった。
その他、映像だけでは咄嗟に読み取れない細かな部分がノベライズによって補完されてる部分も多く、わりと「読みたかったノベライズ」を読めているという感覚がある。惜しむらくは――これはアニメの時点でもそうだったが――灼と炯、名前を並べたときに区別がつきにくいということ。二人の行動が同時に描かれると、一瞬どっちがどっちかわからなくなっちゃう。

他にノベライズで期待することとしたら、ビフロストとは一体何だったのか、もうちょっと理解ができるとよい。一応アニメ内でも説明されてたし、コングレスマンたちが何をやっていたのか、なんとなくはわかった気はしてるけれど、まだ十全には程遠い。要するにインスペクターたちがやっている犯罪をさらに迂遠化した、先読みゲームということなんだろうけども。迂遠に迂遠を重ね、プレイヤーたちもすごい意味ありげに振舞ってるけど実はそこまで精細に絵図を描いてるわけではない……「俺たちは雰囲気で黒幕をやっている」じゃないけど、黒幕同士があえて一枚岩にならず互いに企みあうことで、ときにシビュラを謀りときにシビュラを守ることになるので色相も曇りにくくなる……みたいなことかと。そんな認識で合っていたのか、確かめたい。

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