3/7 『ぼくらの校長送り』を読んだ

面白かった。
時期は3年生の夏休み序盤。前巻が夏休み明けからだったので、時間は若干遡っているのか。ひとみの友人の姉が津軽で教師をやっているが、教師からのいじめに遭っているので助けに行こうというお話。傭兵かよ。もう身の回りに敵がいない。遠征してまで巡り合う「悪い教師」も正直まったく脅威ではなく、赤子の手をひねるように次々と制圧していく。敵としては物足りなかったが、女性陣の美人局、安永のケンカ術、天野の声技、谷本のメカニック、秋元の芸術など、ぼくらメンバーがこれまで培ってきた技術を遺憾なく発揮しており、やられ役としては十分だった。
作中で、純子とひとみに逆ナンされた体育教師がドライブデート中に話す蘊蓄として「東日流外三郡誌」の名を出しており、アッこれは噂に聞く偽書の……!と驚いた。今ではもう完全にインチキだと言われてるそうだが、今作が刊行された時点(1995年)ではま真偽論争が続いていたようであり、果たして宗田先生がこれを本当に信じ込んでいたかどうかは定かではない。あとがきでも「奇書」って言ってるし、面白がってる方じゃないかとは思うけど。もっとも作中でこれを言っているのが脳筋のアホ教師なので、真にしろ偽にしろ滑稽な描写であることには変わりない。
いじめられていた女性教師がぼくらの蹂躙っぷりに感銘を受けたのか、どんどんノっていって、教頭を手玉に取ってクーデターを起こさせようとするほどの成長を見せるという展開はちょっと新鮮だった。クーデターこそ寸前で回避されたものの、最終的にはもうほぼ学校を支配下に置いたに等しかった。津軽の風習である「虫送り」になぞらえて「校長送り」を発案したのも彼女だし。そんなことってある?

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